高橋P「渾身の音色がひとつに響き合ったとき」

『だれでも第九』コンサートで音楽プロデュース・編曲を担当した高橋幸代氏は、こう語っている。

「だれでもピアニストたちが奏でる 1 音から伴奏やオーケストラの音が紡ぎ出されたり、全員で壮大なアンサンブルを奏でる場面、さまざまな響きに願いを込めて今回編曲しました。

それぞれの挑戦、思い、そして渾身の音色がひとつに響き合ったとき、どのような音楽が生まれるのか。

皆様と分かち合えることを願い、また皆様にもこの『だれでも第九』コンサートを創りあげるお一人となっていただければ嬉しく思います」

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「だれでもピアノ」がくれる可能性

「だれでもピアノ」は、ショパンのピアノ曲「ノクターン」を弾きたいと願う手足の不自由な高校生のために、2015 年にヤマハ研究開発統括部と東

京藝術大学 COI 拠点インクルーシブアーツ研究グループ(新井鷗子特任教授)により共同で改良・開発した、ヤマハの自動演奏機能付きピアノ「DisklavierTM(ディスクラビア)」を使った演奏追従システムとペダル駆動装置をいう。

一本の指でメロディー(右手パート)を弾くと、そのメロディーのタイミングや速度に合わせて伴奏(左手パート)とペダルが自動で追従するため、ハンデや経験、年齢に関係なく、だれでも、奏者のイメージする演奏を楽しめる。

オリジナル編曲の伴奏による、だれもが親しみのある楽曲を搭載し、インクルージョンの意味も込めて新井鷗子特任教授により「だれでもピアノ」と名付けられ、2020 年に同演奏システムは特許を取得(特許 6744522)している。

当初は、一人の障がい者のために開発されたシステムですが、今ではピアノを弾いてみたいと思う初心者など、障がいの有無に関わらず誰もが楽しめるシステムとして世界中から注目を集めている。