「高額お布施」のお寺に募る不信感。墓じまいの依頼で請求された“とんでもない金額”は…

300万円は相場通り? 檀家仲間に尋ねて分かった事実

東京に戻った後、母は親しい檀家仲間に電話をかけまくり、墓じまいの費用の相場を尋ねたようです。

足元を見ているのか、はたまた懐具合を探っているのか、提示される費用は人それぞれだったようですが、その際聞こえてきたのは「あそこのお寺さんは代替わりしてから高額のお布施を要求してくるようになった」とか、「先代はお盆の檀家回りも暑い中自転車をこいで来てくれたのに、今の住職はタクシーで乗り付ける。街の有力者と連日飲み歩いているらしい」といった芳しくない評判ばかりでした。

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行政書士へ相談

私の方でも墓じまいの費用について、以前お世話になった行政書士の方に相談もしました。

その時に言われたのは、離檀料の相場はなく寺によっては墓の撤去費用といった実費だけで対応しているところもある、人によっては寺に相談してディスカウントしてもらったケースもなくはない、ただ、伝え方によっては檀家寺の方がへそを曲げて改葬の手続きが進まなくなってしまうリスクも伴うといったことでした。

その行政書士の方が実際に聞いた話では、ある人が檀家寺と話がこじれて勝手に遺骨を取り出そうとしたところ、寺から警察に通報され、大騒ぎになったことがあったそうです。

以前相談に来た人の中には「あまりに理不尽だから裁判で争う。弁護士を紹介してほしい」と息巻いていた方もいたようですが、「裁判にかける費用や労力は大変なものです。止めておいた方がいいと思いますよ」と必死で引き止めたとか。

「特にあなたのお父さんは地元の名士だった方でしょう? 狭い田舎で影響力のあるお寺さんと揉めるなんてことがあると、あっという間に噂になりますよ」

そう言われてしまうと、何も言い返せなくなります。それは母も同じだったようです。このやり取りを伝えた後、母は腹を決めたらしく、「これであのお寺さんとは縁が切れるのだから、“手切れ金”だと思ってお支払いするしかないわね」と無理に笑顔を作ってみせたのです。