●2.米国株:米株の上昇を牽引してきた半導体株・ハイテク株に売り、軟調な企業決算を発表した銘柄も売られた

 1)米3月小売売上高は前月比+0.7%増、市場予想+0.3%増を上回った
  ・堅調な個人消費が米経済を牽引する状況が続き、FRBの利下げ時期が遅れるとの見方が広がった。

 2)米金利が急騰
  ・米3月小売売上高が市場予想を上回ったため、利下げ開始時期が遅れるとの見方が広がり、長期金利が上昇した。
           4/1   4/16   上昇幅
   10年債利回り  4.312  4.667  +0.355%上昇
  ・加えて、イランによる報復攻撃を受けたイスラエルの対応によっては、中東情勢の先行き不透明感が高まるとの見方が広がった。

 3)米株は金利上昇で割高感が意識され、半導体株とハイテク株が売られた
  ・米金利は上昇(4/1⇒4/16)し、割高感が意識された株式は売られ、株価は押しさげられた。
  ・金利の推移      4/1 4/16    4/17   4/16⇒4/17
     10年債利回り  4.312  4.667   4.590  ▲0.077%低下
     02年債利回り  4.712 4.987   4.932  ▲0.055%低下
  ・問題点は、4/17は前日比で金利低下したが、ハイテク株と半導体関連株が下落したこと。株価下落の要因は、金利低下効果を上回る「決算が予想下回わった」という期待外れにある。特に、オランダの先端半導体製造装置大手のASMLの決算は大きな期待外れで衝撃的な決算発表となった。
  ・特に、PER(株価収益率)が高いハイテク関連銘柄の多いナスダック総合指数とフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は大幅な下落となった。
  ・下落率の推移       4/15    4/17
    NYダウ        ▲0.65%安 ▲0.12%安
    SP500         ▲1.20   ▲0.58
    ナスダック総合     ▲1.79   ▲1.15
    半導体株指数(SOX)  ▲1.39   ▲3.25

 4)市場予想に届かない決算発表をした銘柄に売りが出た
  ・JPモルガン・チェース
  ・ASML
  など

 5)地区連銀経済報告(ベージュブック)では、「インフレ鈍化の進展みられず」
  ・米経済活動が底堅さを示したが、インフレの鈍化は進まなかったとの報告内容。インフレは鈍化から再上昇へと転換するリスクが膨らみつつあるとみたようだ。
  ・ただ、消費者は「物価上昇に敏感」と報告にあり、消費者の財布の紐が締まってきたことを示している。このことは、物価上昇が家計を圧迫している様子を表している。消費支出の減速動向が気になるところである。
  ・一方、企業もコスト増に対して価格転嫁が難しくなっている。企業業績の見通しの悪化を示唆している点に注意したい。
  ・結論として、「インフレ鈍化が停滞し、政策金利据え置きを後押しする流れ」を容認する報告だったとみる。

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●3.パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばしを示唆、インフレ根強く(ブルームバーグより抜粋

 1)インフレは、昨年末に速いペースで鈍化したものの、その後は一段の進展がみられないと指摘。インフレ率が2%の物価目標に向かっているという、利下げに先だって必要な確信を得るのにはより長い時間がかかる可能性が高いとの見解を示した。

 2)そのうえで、物価上昇圧力が根強く続いた場合は、金融当局は「必要な限り」金利を据え置くことが可能だ、と述べた。

 3)利下げの必要性が差し迫ったものと感じていない。年内に利下げがあるとしても、比較的遅い時期となる。