■II.中国株式市場

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●1.上海総合指数の推移

 1)8/17、上海総合+13高、3,163(亜州リサーチより抜粋
  ・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。
  ・中国の国営メディアは8/16、「2023年の経済目標を達成するため、国務院は政策調整を強化する」などと報道した。
  ・来週8/21に発表される最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」については、銀行貸出の指標となる1年物と住宅ローン金利の指標となる5年物がそれぞれ引き下げられると見込まれている。
  ・また、当局が先ごろ「資本市場の活性化」に言及したことも改めて注目された。中国中央電視台(CCTV)傘下のニュースサイト「央広網」は8/17、アナリストらの見解として、「株式取引にかかる印紙税を調整する必要性と余地がある」と伝えている。
  ・もっとも、上値を買い進む動きは見られない。中国の景気懸念がくすぶっているほか、人民元安の進行も不安材料となった。8/17の外国為替市場では、対米ドルの人民元が昨年10月以来の安値水準で推移、指数は安く推移する場面もあった。
  ・業種別では、ハイテク関連の上げが目立ち、軍事関連も急伸、消費関連・インフラ関連・素材・エネルギー・運輸・医薬品なども買われた。半面、金融は冴えず、不動産も売られた。

 2)8/18、上海総合▲31安、3,131(亜州リサーチより抜粋
  ・景気減速が改めて意識される流れとなり、今年1月4日以来7カ月半ぶりの安値。
  ・国内では不動産市場の低迷や、消費活動の停滞が鮮明化している。複数の証券ブローカーは、中国経済の先行きに慎重な見方を示した。2023年に「+5.0%前後」の国内総生産(GDP)成長を確保するとの当局の目標に関して、達成困難との見方が広がっている。もっとも、下値を叩くような売りは見られない。中国医経済対策への期待感が相場を支えている。
  ・中国人民銀行(中央銀行)は17日、第2四半期(4~6月)の「貨幣政策執行報告」を発表。マクロ経済政策の調整を強化し、潤沢な流動性と人民元安が加速するなか、中国当局が国有銀行に対し、「外国為替市場への介入を強化するよう指示」したなどと報じた。人民銀行は18日、人民元レートの対米ドル基準値を6営業日ぶりに元高方向に設定(予想以上の元高水準)。外国為替市場では、人民元高・米ドル安が急速に進んでいる。
  ・業種別では、消費関連の下げが目立ち、医薬品も安く、ハイテク・不動産・素材
  ・インフラ関連なども売られた。半面、銀行・保険はしっかり。

●2.中国・恒大集団、米国で破産法15条申請8月17日、負債48兆円、中国「危機」日本への影響が不可避(テレ朝)

 1)NYタイムズ紙、販売されたものの未完成の住宅が昨年末時点で72万戸と伝える。

●3.中国レノボ、4四半期連続の減収、世界的なPC需要低迷続く(ロイター)

 1)4~6月期の売上高▲24%減の129憶ドル。

●4.中国の住宅不振、公式データよりはるかに深刻か=仲介業者や民間情報(ブルームバーグより抜粋

 1)政府のデータによると、新築住宅価格は2021年8月の高値から▲2.4%下落。中古住宅価格は▲6%下げている。

 2)だが、不動産仲介業者や民間データ提供者が明らかにする数値ははるかに厳しい。
  ・これらの情報によると、中古住宅価格は上海や深圳など主要大都市圏の1等地のほか、2線・3線都市の半数超で少なくとも▲15%下落している。
  ・アリババの浙江省杭州本社近くの中古住宅は、2021年終盤の高値から約▲25%値下がりしたと、地元の仲介業者は明かす。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)8/17、日経平均▲140円安、31,626円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株安を背景にファストリなど値がさ株を中心に朝方から売り優勢となり6/2以来2カ月ぶりの安値となった。下げ幅は午前に▲450円を超える場面があったが、売り一巡後は押し目買いが入って下げ渋った。
  ・米連邦準備理事会(FRB)が8/16に公表した7月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受け、追加利上げの可能性が警戒され、前日の米株式相場が下落した。東京市場でも値がさ株を中心に売りが先行した。
  ・中国景気への懸念が根強く、8/17の香港ハンセン指数が大きく下げると、日経平均を下押しした。
  ・東京外国為替市場で円が146円台半ばと、およそ9カ月ぶりの安値となったが、政府・日銀の円買い介入による反転が意識され、自動車や機械など輸出関連銘柄を買う動きは限られた。
  ・売りが一巡すると日経平均は下げ幅を縮めた。日経平均が節目の32,000円を割り込んだことで、値頃感に着目した買いも入りやすかった。
  ・個別株では、テルモ・HOYA・アドテストが下落。資生堂・ニデックの下げも大きかった。一方、信越化・ダイキンが上昇。東エレク・ファナックも買われた。

 2)8/18、日経平均▲175円安、31,450円(日経新聞より抜粋
  ・米金融引締めが長期化するとの見方から米長期金利が上昇し、前日の米株式相場が下落。東京市場でも幅広い銘柄が売り優勢となり、6月1日の31,148円以来2カ月半ぶりの安値となった。
  ・経営再建中の中国不動産大手の中国恒大集団が8月17日、NYで連邦破産法第15条の適用を申請し、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
  ・17日の米株式市場では主要3指数が揃って下落した。米長期金利が一時4.32%と、2022年10月以来の水準まで上昇し、米株式相場は調整色を強めた。米株安を受けて、日本株にも売りが先行し、日経平均の下げ幅は▲350円に達する場面もあった。
  ・中国の景気悪化懸念も相場の重荷となった。中国恒大集団の破産申請をきっかけに、中国不動産最大手で資金繰り難が表面化した碧桂園など連鎖的な破産につながるとの観測が広がった。ファストリや安川電など中国関連とされる銘柄が下げたほか、訪日中国人の消費動向に影響が出るとの見方から三越伊勢丹や高島屋などのインバウンド(訪日外国人)関連株の下げが目立った。
  ・市場では「米景気に再加速の兆しが見られ、米長期金利が上昇していることが株安の主因。中国の不動産市況の低迷はこれまで度々報じられており、ある程度は織り込み済み」との声があった。中国・上海株式相場が上昇する場面では、日本の株価指数先物にも買いが入り、日経平均は一時、上昇に転じた。
  ・個別株では、ダイキン・信越化・フジクラが下落した。半面、アドテスト・東エレク・ニデックは上昇した。

●2.日本株:8月は今年も夏枯れで「弱い」症状

 1)個別株で、「年初来安値」銘柄が続出し始める
  ・オリンパス、エムスリー、ベネフィット・ワン、エスエムエス、ウェルシア、GPOペイメントゲートウェイなど

 2)新安値銘柄数が増加し、相場の弱さを示唆
  ・          8/14    15    16   17   18
   新高値銘柄数     233   106    35   42   20  
   新安値銘柄数      45    52   92 140 93
   日経平均の値動き  +26円高 ▲361円安 ▲180 ▲140 ▲175

 3)チャート的には、日経平均・TOPIXともに、上昇波動から外れる
  ・チャートは崩れ始めた。

 4)海外投資家の日本株買いは、株式先物を見ると勢いをなくしている
  ・ゴールドマンサックス(GS)は、先物で8月10日に大量買いしたが、翌日から売越しに転換した。
      8/10     14     15   16    17    18
     +9,352枚買 ▲1,886枚売 ▲2,517 ▲3,361 ▲3,916 ▲4,422
    GSは10日に+9,352枚買越したが、翌日から一貫して▲16,102枚売越し。
  ・海外投資家の先物合計で見ても、10日こそ+9,304枚を買越ししたものの、翌14~18日は▲6,847枚の売越しとなっている。

 5)8月はやはり夏枯れで売られやすい状況が続きそう

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6196 ストライク     業績好調。
 ・7732 トプコン      業績堅調。