飲み会から逃げてはいけない

 最近では、「最後は飲みニケーション頼み」という管理職はダメ上司の典型として茶化されているが、現実はそんなことはない。レポート業務中心のコンサルタントならいざ知らず、我々のように現場に入り込んで実務を行う側からしてみれば、飲み会は信頼を得るためのきわめて重要な場である。特に、業績不振の組織では旧体質の文化が残っており、いまだに「夜の居酒屋」で重要事項が決定することが多い。また、「飲み屋で最後まで付きあえる人」に対して信頼感を感じるというのも事実だ。特に、アジアなどの現地法人とのコミュニケーションは「酒の酌み交わし」は信頼獲得の必須条件である。

 飲み会が批判されるのは、酒の勢いに任せて上司や会社の悪口を一緒に言ってしまうからだ。また、生産性のない議論を延々としてしまい、次の日に遅刻をするとか、ノミュニケーションに参加できない人が仲間はずれにされてしまうからである。

 だから、酔ったとしても正論を言い続ける、会社の悪口を言い始めた社員に対して毅然として夢を語るなど、自分のスタンスを守り抜けばよい。

そうした負の部分さえしっかりコントロールさえすればプラスの効果、たとえば、そうすれば、本音を聞き出し、たまっている鬱憤をテーブルの上にだすことで人として信頼を確認できる場としてこれほどよい場はない。もちろん、すべての人に飲みニケーションを勧めるわけではないが、可能であれば積極的に参加し、現場に交わろう。

 

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現場の信頼を得てはじめて戦略が正しく実行される

 再生支援に入った企業から、ほこりをかぶった戦略コンサルタントのレポートを渡されたとき、内容を読んで何が書いてあるのかさっぱり分からなかった。アカデミックなコンセプトと最新の経営用語が横文字で並んだ提案書は複雑すぎて、誰に対して何をすればよいのか書かれていない。

 部分的に拾い読みしてみれば、それらしいことも書かれているのだが、その裏にあるロジック、背景にあるメカニズムやリスクについては読み込めない。少なくとも経営の勉強をそれなりにしてきた私でも内容は分からなかった。

 実際、ある戦略コンサルタントのいうとおりに問屋をはずして「中抜き」をした結果、中間流通から総スカンを食らい、工場稼働率が半分に落ちて大赤字になった製造業の建て直しを行ったこともある。

その提案書には「段階的に直接取引の可能性を模索しながら、注意しながら進めてゆく」と書かれてあった。しかし、「注意しながら」で済まされるほど現場は甘くない。現場はもっとドライで冷徹だ。「俺は、やる気はなかったのだが、先生(コンサルタント)が言うことだからやってやったよ」という態度だ。信頼感なくして正論を説いても、正しいメッセージを伝えられないということはこんなところからもわかる。