また静岡か! 国会議員、知事、スルガ銀行、いなば食品…  「まとまりのなさ」から生まれる独特の県民性と金融風土

はじめまして。佐々木と申します。これまで主に、金融機関経営者・実務家向けの「フィナシープロ(finasee Pro)」で記事を書かせていただいており、finaseeには初出稿になります。何卒よろしくお願いします。

筆者は新卒後に就職した金融機関で、1993年と2014の2度(いずれも2年ずつ)静岡支店に赴任した経験があります。2021年からは、縁あって静岡県内金融機関の非常勤職員などをさせていただいており、現在も自宅のある東京から毎週、通いで訪問しています。

今回は、そんな「県内出身者ではないものの、いつの間にかそれなりに詳しくなった」静岡県の金融その他について、ごく簡単に解説いたします。

何かと世間を騒がせる静岡県

総務省統計局のデータによれば、2023年10月1日時点の都道府県別人口で、静岡県は第10位(約360万人)のようです。皮膚感覚では、それよりも高い頻度で何かと話題となっている印象を受けますが、皆さんはいかがでしょうか。

分野

県内出身者・事業者[敬称略]

政治

吉川赳(自民党離党)、塩谷立(旧安倍派座長・自民党離党)、宮澤博行(自民党離党・議員辞職)、細野豪志(民主党政権で環境相、自民党へ)、川勝平太(県知事・失言で辞職)、上川陽子(外務大臣)

経済

スルガ銀行(シェアハウス“かぼちゃの馬車”などをめぐる不正融資)、いなば食品(ネット炎上)、スズキ(広範囲な検査不正)、ヤマハ発動機(排気ガス・燃費検査で不正)

芸能

電気グルーブ(石野卓球・ピエール瀧)、トータルテンボス、EXITりんたろー、アンタッチャブル柴田英嗣、つまみ枝豆、シソンヌ長谷川忍、春風亭昇太、広瀬すず、長澤まさみ

 

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静岡の金融機関事情

静岡市と浜松市に都市銀行が進出していますが、預金取扱金融機関の中心は、静岡市に本店を置く静岡銀行です。このほか県内の有力プレーヤーは以下のとおりです。

 

静岡県内に本店を構える預貯金取扱金融機関[順不同]

銀行(4)
信用金庫(9)
信用組合(1)
農業協同組合(10)
静岡
スルガ
清水
静岡中央
しずおか焼津
静清
浜松いわた
沼津
三島
富士宮
島田掛川
富士
遠州
静岡県医師
ふじ伊豆
しみず
静岡市
大井川
ハイナン
掛川市
遠州夢咲
遠州中央
とぴあ浜松
みっかび
 

 

特徴的な面に、銀行と信用組合が挙げられます。地方経済の縮小傾向の下、青森・新潟・長崎県などで地方銀行・第二地方銀行の合併・再編が進む中、県内にはなお4つの銀行が残っています。対照的に、信用組合は職域信用組合である静岡県医師信用組合の1つだけしかありません。農業協同組合も相当数が残っており、これらが業態入り混じった生き残りの競争環境を形成しています。

都道府県GDPの順位で静岡をひとつ上回る福岡県には、ガリバーである福岡銀行のほか、福岡中央銀行に加え、預金量で1000億円弱から8000億円までの信用金庫が8つと信用組合3つがあります。これに対し、静岡県の信用金庫は最小サイズでも預金量が4000億円台であり、相対的に価格競争力を保有しています。

スルガ銀行の特異な経営モデルも、そうした県内での激しい競争を避け、神奈川県・東京都を始めとする県外での展開を模索していった中で生じたある種のエラーと言えるのではないでしょうか。