「お金のことはとりあえず後で考えよう」と思いがちなあなたへ『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』

さまざまな種類の投資方法を教える本

さらに本書の特徴的なところは、このように投資そのものを始めることを勧めるだけでなく、「ではどんな投資がいいのか」という、さまざまな投資方法についても教えてくれるところだ。

たとえば、債券。不動産物件。不動産投資信託(REIT)。それらの特徴、長所と短所(リターンとリスク)についても言及する。

そして日本人にはあまりなじみのない、農地投資、中小企業投資、ロイヤリティ投資、はてはオリジナル商品販売を投資としておこなうことに至るまで、長所と短所を書いているのだ。なかなかここまで多様な投資方法をカバーしている本は、少ないだろう。「投資って、株式だけではないのか」ということを知るためにも、入門書に適した一冊だと思う。

また著者は個別株投資を勧めておらず、投資信託への投資を勧めている。なぜなら個別株でリターンを得ることは、かかる時間や労力の割に困難なことだからだ。

さらに家を買うことについても、慎重になるべきだと本書は語る。家は往々にして人生最大の買い物になりやすい。だからこそ、自分の経済状況と現在のライフスタイルに適したものが見つかったときのみ、買うべきである。著者はそう主張する。たしかに本書が綴るような「家を買うという大きな投資は、高価な選択であるがゆえに盲目になりやすい」ということを覚えておくだけで、家の購入にあたって少し冷静になることができるかもしれない。

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お金は増やせても、時間は増やせない

もちろん本書を読んだからといって、著者の言うことにすべて従わなければいけないわけではない。

しかし本書の著者のような主張を知っておくだけでも、お金の管理に関して、勉強になることは多いはずだ。

投資のことを考えるのは、面倒だし大変だ。腰が重くなる作業かもしれない。しかし本書を読むと、「とにかく時間を味方にすることが、投資においてはいちばん重要なのだ」ということがよくわかる。

投資は、早く買って、ゆっくり売った方がいい、と本書は繰り返し伝える。そしてそれができないような経済状況ならば、貯金することに専念した方がいい、とも。

お金は増やせても、時間は増やせない。だからこそ、自分の時間をどう使うのか、考えた方がいい。そんなシンプルなメッセージを伝える本書は、きっとあなたの経済観念を変える一冊になってくれるのではないだろうか。