【今週の労務書】『2023年版 日本の労働経済事情』

「総額人件費」一考を

 本書は、雇用に関係する統計情報などを収載している書籍の最新版。

 持続的な賃上げの実現に向けて、注目したい項目は総額人件費管理について。経団連の試算では、総額人件費は所定内給与の1.66倍に相当する。ベアや諸手当増額の検討に際しては、「実施の翌年度以降も増額分を含めた人件費を継続して確保できる収益体質にあるのか確認を」と注意を促す。再雇用者の増加なども影響するため、自社が生み出す付加価値との均衡を適切に管理する点が一層重要になっていると指摘した。

 これらの知識はベテランには当たり前だが、本書の副題は「人事・労務担当者が知っておきたい基礎知識」。若手に手渡し、賃上げの影響をはじめとした“人事の基本”を考えさせてはいかが。

(日本経済団体連合会事務局著、経団連出版刊、税込1320円、TEL:03-6741-0045)