西は海、東は山と自然に囲まれたワシントン州最大の都市シアトルは、「エディー・バウアー」が拠点を構えるだけあってアウトドア・アクティビティが盛んな町。そんなこの土地で生まれ、現在まで続く、シアトル発の7つのアウトドアブランドを紹介する。

人と自然を繋ぐ橋渡しの街


シアトルの街を一望できる「ケリーパーク」から撮影した一枚。この場所から撮られた写真はスーベニアTシャツに描かれていることが多い。さすがは雨の街シアトル、撮影を行った当日も小雨が降っていてとらえることができなかったが、晴れていれば写真右上にレーニア山が見えるのだという

多くのアウトドアブランドが生まれた、シアトル。それは自然が多く、数時間の移動でフィールドへ行ける、ということがひとつの理由として挙げられるが、それだけではない。これには全アウトドアズマンの憧れ、世界最高峰のエベレストが深く関係している。

シアトルの南東に位置するレーニア山は標高4392mとエベレストには遠く及ばない。しかし、エベレスト登頂を目指す多くの登山家は準備としてこの山の頂を目指す。その理由は、山の傾斜がほぼ同じという理由からだ。それは、まだエベレスト登頂がなされていなかった時代でも同じ。


シアトル周辺の地図。東にはノースカスケード山脈がそびえ立ち、山脈最高峰のレーニア山が南東に位置する。西はオリンピック国立公園と海が広がっており、360度自然に囲まれている

そのため多くのアウトドアズマンがシアトルを訪れていた。街ではアウトドア用品の需要が高まり、必然的にアウトドアブランドが出来上がっていったのだ。シアトルという街は、山へ、自然へ人を送り出す、橋渡しの街となっていったのだ。

(広告の後にも続きます)

1.Crescent Down Works|エディー・バウアーのDNAを受け継ぐダウンメーカー

「エディー・バウアー」でダウンの研究に携わったアン・マイケルソン氏が74年に創業。シアトルの自社工場で職人のハンドメイドによる生産を続けている。リップストップナイロンを使用したジャケットとベストは70年代を彷彿とさせるクラシックなルックス。左/クラシック ダウンパーカ15万4000円、右/イタリアンベスト8万2500円(メイデンズショップTEL03-5410-6686)

はじまりはエディー・バウアー


「メイデンズショップ」ディレクター兼バイヤー・牧野真也さん

「エディー・バウアー」と関係が深いという「クレセントダウンワークス」。その歴史と関係性を牧野さんにきいた。

「生粋のアウトドアズマンであった創業者のアンは、ダウンとアウトドアの親和性を肌で感じていたそうで、1969年に『エディー・バウアー』にて史上初のダウンテストラボの設立に関わることになりました。その経験から、5年後の1974年に今のブランドを立ち上げます。自分たちの手が届く範囲で、高品質なものをこだわって作り続ける精神が昔のアメリカらしくていいんですよね」


創業当時に撮られた創業者アンの写真。自身も本格的なアウトドアズマンで、ダウンの魅力を肌で感じていたという。その経験から「エディー・バウアー」への入社を決意する


創業から変わらず、シアトルの工場で一つひとつハンドメイドで作られる。メインとなる縫製職人は25年以上変わっておらず、高品質なものを作り続けている


当時作られていたダウンアイテム。シームの位置や形、フードなど現在作られているものと変わらないことが分かる。当時からそのデザインが完成されてたことを意味する