経営破綻した大手暗号資産交換業FTXトレーディングの創業者で、詐欺罪などに問われているサム・バンクマン・フリード被告が1月12日、自身のブログを開設した。同社の経営破綻は暗号資産相場の暴落が理由と主張し、自身の法的責任を否定している。

FTXは、投資事業を手がける親会社Alameda Research(アラメダ・リサーチ)の損失をFTXの顧客資金で補てんし、使い込んだとみられている。資産の流用を主導したとして、バンクマン・フリード被告は2022年12月にバハマで逮捕。現在は2億5000万ドル(約320億円)の保釈金を支払って、米カリフォルニア州に滞在しているという。

バンクマン・フリード被告はFTXの経営破綻以降も、メディア取材などで声明を発表してきたが、経済事件の被告が法廷ではなくブログで起訴内容に関する意見を示すのは異例のこと。投稿では「資金を盗んだわけでも、何十億もため込んだわけでもない」と訴えている。

これまでの声明では自身の判断の誤りやFTX破綻の責任を認めていたが、ブログでは、暗号資産市場の低迷などとともに、競合のBinanceの最高経営責任者(CEO)のチャンポン・ジャオ氏によるツイートがAlamedaの債務超過を引き起こしたと主張。また複数の財務諸表を公開し、自身が経営を続けることを許されたら「FTXはまた支払い能力を持つようになると信じている」と繰り返している。

一方で、FTXの顧客資金がAlamedaに渡った経緯や、不動産購入や政治献金への資金の流用などといった疑惑にはふれられていない。バンクマン・フリード被告の後任でFTXのCEOになったジョン・レイ氏はエンロン事件をはじめ40年以上事業再生に携わってきた人物だが、同社の財務諸表に対し「これほどまでに企業統治が失敗し、信頼できる財務情報が欠けている状態は見たことがない」と述べている