専用回収BOXのイメージ(画像:第一三共ヘルスケアの発表資料より)

 第一三共ヘルスケアは20日、医薬品の包装シートであるPTPシートをリサイクルする「おくすりシート リサイクルプログラム」の実証実験を開始すると発表した。実施場所は神奈川県横浜市で、リサイクル事業をグローバル展開しているテラサイクルの日本法人と連携して行う。生活者参加型のPTPシートリサイクルの取組みは、国内初という。

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 2022年4月、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行。事業者は、プラスチック使用製品の排出を極力減らし、製造・販売したものは回収・リサイクルに努めることが求められている。ペットボトルの再製品化や、環境負荷の低い生分解性プラスチック容器の開発など、国内でも取組みが拡がってきている。

 ただPTPシートは、医薬品の包装という特性から削減やリサイクルの取組みが進んでいないという。その一方でPTPシートは、ジェネリック医薬品の流通に伴い市場規模が拡大。富士キメラ総研の調査によると、特に2018年以降は拡大傾向にあり、22年の市場規模予測は18年比20.1%増の173億円に達するという。今後高齢化の進展が見込まれる日本では、増加傾向はしばらく続くと想定される。

 そうした流れの中、第一三共ヘルスケアは、PTPシートのリサイクルの仕組みを構築する取組みとして、今回の実証実験を開始。日本ではまだ資源として認知されていないPTPシートを、資源循環させる仕組みの構築を目指すという。

 実証実験では、薬を服用後に残るPTPシートを専用BOXで回収し、シートのプラスチックとアルミニウムを分離した後、それぞれ加工・融解してリサイクルする。病院の処方薬や、薬局・ドラッグストアで購入した薬が対象で、第一三共ヘルスケア以外の薬も受付ける。

 回収は1枚から可能で、回収BOXは開始時点では、横浜市内の薬局やドラッグストア、病院など計10カ所に設置する。産業廃棄物処理業者を除き、誰でも参加可能という。

 連携するテラサイクルは、米国に本社を持つベンチャー企業で、日本法人は2013年に設立。創業者のトム・ザッキーが、大学在学時にカフェテリアの残飯をミミズに与えて堆肥を作り、ビジネス化したことから始まったという。

 その後、包装やカップなどのリサイクル事業を開始し、事業を拡大。現在では世界9カ所に拠点を持ち、20カ国以上で事業を手がけている。19年からは、使用済み容器を回収・洗浄して再利用する「LOOP」を開始。日本でもイオンや大塚製薬などが参画している。

 実証実験は、10月20日~23年9月30日まで実施予定。実験を踏まえ、今後は実施拠点を拡大していく方針だ。第一三共ヘルスケアは、プログラムを通じて資源循環の仕組み構築をリードし、将来的には、企業の枠を超えて取組まれるような活動への発展を目指すという。