京都を拠点とする筆者が長年、行ってみたいと思っていたのがステーキ・ハンバーグ店の「炭焼きレストランさわやか」である。静岡県限定のローカルチェーンで、名物「げんこつハンバーグ」が大人気。その味を求めて県外からやってくる人も少なくない。同様の料理を出す店は多い中、わざわざ遠出をしてまで足を運ぼうと思う理由は何なのか。究明のため、今回は静岡県菊川市にある1号店で食事をしてみた。


ずっと行ってみたかった静岡県のステーキ・ハンバーグチェーン「さわやか」

2023年7月、新築オープン

 ついにその時がやってきた。午前中、静岡県浜松市で仕事があり、午後からはフリー。こんなタイミングは滅多になく、今回こそ行こうと思った。目的地は「炭焼きレストランさわやか」(以下、さわやか)である。

 知ったのは約10年前。静岡県へ行った時、飲食店を何気なく検索したところヒットした。最初、あまり気にも止めなかったが、その後、情報誌で取り上げられているのをたびたび見た。また長澤まさみさん、ももクロの百田夏菜子さん、福山雅治さんはじめ有名人も話題にしていると知り、行きたい気持ちがだんだん増していった。

 ご存知ない方のために説明すると、さわやかはステーキ・ハンバーグのチェーン。2024年3月現在、34店舗を数えるが、店舗があるのは静岡県内だけ。フランチャイズではなく、すべて直営での展開。牛肉100%の「げんこつハンバーグ」が大人気で、わざわざ県外からやってくる人も少なくない。

 いよいよ訪れるチャンスが巡ってきたわけだが、さてどの店を選択するのがベストなのか。浜松には県内でもっとも多い12店を構え、その気になればすぐにでも行ける。しかし、せっかくなら1号店の「菊川本店」がよいと思い立つ。スマホで調べると、最寄りの菊川駅まで1本で行けるとわかり、行動に移すことにした。


「浜松」駅から静岡行きの在来線へ乗る

約30分で「菊川」駅に到着して下車、駅前からバスが出ていた

 JR東海道本線静岡行きの在来線で約30分、「菊川」駅で降りた。駅前からタイミングよく出るバスに乗って約20分で下車、加茂大通りをしばらく南下したところで現場へ到着する。

 時計を見ると午後3時前。ちなみに平日である。やや遅い時間帯だが、これぐらいがベストと考えた。というのもいつも行列ができており、本店ともなるとなおさら。ネットには週末のランチタイムは2時間半待ちも珍しくないという書き込みもあった。だからピークを外したかったのだ。


「炭焼きレストランさわやか菊川本店」。2023年7月、リニューアルオープンしたばかりで真新しい

 外観はまだ真新しい。というのも新築工事によって2023年7月、リニューアルオープンしたばかりだからだ。高まる期待を胸に、入店した。

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パフォーマンスが楽しい

 「ようこそ、さわやかへ!」

 店内に入ると、女性スタッフが私に向かって元気よく声をかけた。待ち時間はなく、すぐに窓際のテーブルを案内される。といっても、その席以外の窓際はすべて埋まっており、たまたまラッキーだったのだ。

 メニューを開いて何を注文するかを検討する素振りをしていたが、実はすでに決めていた。看板メニューの「げんこつハンバーグ」(税込1375円)、そこへ「フレッシュサラダ」(同308円)を追加。セットメニューでパンまたはライスの選択肢があり、私はライスにする。ハンバーグにかけるソースは「オニオンソース」を指定した。


注文するのは看板メニューの「げんこつハンバーグ」にすると最初から決めていた。ソースは「オニオンソース」を指定する

店内は木を多く使うほか、照明もこだわっており落ち着く雰囲気

 昼時を外したのに、店内は7〜8割がた席は埋まっている。会社員風、家族連れ、友達同士など多様だったが、私のように1人できているのは少数派。みなさん、会話しながら楽しそうに過ごしている。

 10分ほどして私の前にハンバーグが置かれた。すぐ食べられるのかなと思ったが、女性スタッフがテーブルの端に置かれていた大きなナイフとフォークを使って作業し始めた。ハンバーグを真ん中から切り、その断面を鉄板に押し付け、その上からオニオンソースをかけた。


ハンバーグが来ると、スタッフが大きなナイフとフォークを使って真ん中から切り、その断面を鉄板におしつけた

 ジュー!という音が食欲を喚起する。その間、油が飛ぶので紙のテーブルマットを持ち上げるように言われ、従って見守る。テキパキとして手際のよい動きに見惚れた。しばらくして「どうぞ、お召し上がりください」とのことで、早速いただく。

 適度な大きさに切り、断面を見ると真ん中はほんのり赤い部分が残り、いい感じの焼き具合だ。早速食べたが、しっかりとした歯ごたえでまさに肉を食べていると感じる。大変においしい。もう少し焼きたい部分は、まだ熱い鉄板に触れさせ加熱することもできる。そうした自由度の高さも魅力である。夢中になって食べ進め、そしてフィニッシュした。


ハンバーグが来ると、スタッフが大きなナイフとフォークを使って真ん中から切り、その断面を鉄板におしつけた

断面を見ると真ん中はほんのり赤い部分が残り、いい感じの焼き具合だ

 食べながら、このさわやかがなぜ人気かを考えた。第一はおいしさにあるが、さらにテーブルに運ばれてきた際に見た、ハンバーグを切るパフォーマンスも楽しかった。また接客もよい。配膳後も定期的にスタッフが店内を巡回し、「焼き具合はどうですか」などと適度に声をかけてくれる。要は、すべてが行き届いている感じなのだ。これは人気が出るはずだと思った。

 なお静岡県から出ない理由を調べると、品質を重視しているためらしい。静岡県袋井市にハンバーグを製造する工場があり、そこから品質を保持できる距離にしか店を出さない方針で守り、静岡県だけの展開になっているようだ。