【2024年3月期決算】コープさっぽろ、宅配利益77億円が店舗事業補完して増収増益

 コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の2023年度(2023年3月21日~2024年3月20日)決算は、事業高(売上高)3028億8400万円(前期比103・0%)、事業剰余金(営業利益)55億4100万円(同112・3%)、経常剰余金(経常利益)51億7700万円(同117・3%)の増収増益となった。当期剰余金(純利益)は、28億4600万円(166・1%)を予定している。

(写真は、コープさっぽろ本部)

 部門別では、店舗事業が1837億6500万円(同103・9%)、宅配事業が1131億4200万円(同101・3%)、共済事業が22億1800万円(同1・6%)などとなった。期中に、都市型店舗として「新さっぽろ店」を新規出店したほか、「きたひろしま店」をスクラップ&ビルドで新設、「藤野店」、「パセオすみよし店」の大型改装を実施、総店舗数は109店舗。

 宅配事業では「釧路西センター」を新規開設、「網走センター」をスクラップ&ビルドで新設した。宅配利用登録が47万世帯を超えて、順調に成長している。事業別の利益で見ると、店舗事業は24億円の赤字、宅配事業は77億円の黒字となった。店舗事業は、リース物件が多く、営業利益で固定費を賄えない状況が続き、利益面での宅配事業偏重の傾向が続いている。店舗と宅配を合わせた客数は、103・0%、客単価は98・5%になった。なお、店舗の客数は103.6%、客単価は100.2%だった。

 組合員数は201万7607人で前期より4万9166人増えた。出資金は893億4800万円、前期比24億7100万円増加、組合債残高は240億4400万円と28億800万円減少した。金融機関借入金は8億円で、2億円減らした。未処理損失金は105億8300万円を予定しており、前期から28億4600万円減らす。

 大見英明理事長は、「店舗事業では、近隣の競合店などの閉店で売り上げ増になった店舗が10数店舗あったほか、ポイントステージの変更で組合員の利用率が上昇している」と話した。昨年11月に「Bivi新さっぽろ」内に出店した新店舗の「新さっぽろ店」については、「客数は多いものの客単価が低い。主婦層の利用が少ないが、徐々に改善していくとみている」とした。

 2024年度(2024年3月21日~2025年3月20日)は、苫小牧市沼ノ端地区に新規出店するほか、宅配事業では冷凍食品の品揃えを強化する。店舗事業は1890億2700万円(102・9%)、宅配事業は1180億600万円(104・3%)を予定、総事業高は3121億3700万円(103・1%)を見込む。経常剰余金は62億5400万円(120・8%)の予定。投資は、コープさっぽろ本体で123億円、関係会社で121億円を計画。本体123億円の内、店舗投資が73億円(新店1店舗、大規模リニューアル3店舗、大惣菜化プロジェクト15店舗など)、宅配投資が20億円(センターの新規開設)。関係会社では、ロジスティクス関連のマテリアルハンドリング分野に85億円、食品製造関連に14億円、ITシステム関連に9億円など。

 大見理事長は、イトーヨーカドー店舗跡にロピアが進出することについて、「かなりの安売りをしてくると予想している。価格競争は一段と激しくなるが、影響はディスカウンターの方がより大きいのではないか」と話した。また、イオン北海道による西友9店舗買収について、「これによって食品部門の売り上げはアークス、イオン北海道、コープさっぽろの3者がほぼ並ぶが、上位寡占は変わらない。私たちのM&Aに関しては未知数」と述べた。そのうえで、「3強の激突ではないところにも軸足を掛けながら、北海道の生活協同組合として存在していきたい」と語っていた。