前回、イギリスのパブには英国王室にちなんだ名前が多いと述べたが、王室の影響はパブだけに留まらない。たとえば、日常英語や公的なスピーチ、さらには文学に至るまで、英語には英国王室由来とされる言葉や表現がいくつもある。

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 今回は、王室由来の表現をいくつか紹介し、その背景や使われ方を探ってみよう。

■By Royal Appointment

 「By Royal Appointment」とは、「英国王室御用達」を意味するフレーズだ。「Royal Warrant of Appointment」という英国王室が与える認可があり、その認可を得た企業は、「By Royal Appointment」という文言を使用して、自社の製品の広告に王室の紋章を掲載することが認められている。

 たとえば、紅茶やビスケットのパッケージにこの言葉が記載されている場合、王室に供給されているほど高い品質を誇るという意味だ。

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■Wear the crown

 直訳すれば「王冠をかぶる」となるが、「wear the crown」とは重い責任を担うことを比喩的に表すフレーズだ。国王が直面する重大な責任や義務を示す表現として使われ、しばしばリーダーシップの重圧を表現するのに用いられる。

 ・Even though he knew it would be challenging, John decided to wear the crown and lead the project to its completion.
 (ジョンはそれが困難になることを知りながらも、王冠をかぶる決心をし、プロジェクトを完遂へと導いた)