キヤノンラインナップの(だいたいの)完成と、他社製レンズの迎え入れ

と、いうわけで、キヤノンとしては、ひと通り、『RFレンズのメリットの提案』を自社製品で行いたかったのではないかと筆者は思う。

そうこうするうちに、ボディ本体も熟成されてきて、使いやすく、アドバンテージのあるものになってきている。

そこで、RFマウントの他社への技術提供、ライセンス提供……ということになったのだと思う。

シグマやタムロンというレンズメーカーが、どういう領域でアドバンテージがあるかというと、「明るい単焦点」などを中心とした趣味性の高い領域だろう。

機能を絞って、必要な機能をより適切な価格で顧客に届ける。シャープな描画、美しいボケなど、レンズ自体の魅力や個性がこれら社外レンズメーカーの武器であるように思う。

逆に、手ブレ補正など電子的な設計が深く関わる部分は、仕様を深く知るキヤノンの方がよく理解しているだろうし。

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どんなレンズが、シグマ、タムロンから発表されたのか?

今回登場したのは、いずれもAPS-C(つまり、センサーサイズの小さな、R7、R10、R50、 R100)を前提としたレンズである。

フルサイズセンサーのモデル(R3、R5、R6 Mark II、R8など)に、RF-Sレンズを付けると、センサーをAPS-Cにクロップして使うことになる(狭い領域だけ使うので、APS-Cセンサーモデルと同様、レンズを1.6倍にして使うことになる)。メリットは少ないが、とりあえずレンズを共用することはできる。

現行のキヤノンのRF-Sレンズは、プラスチックボディの安価なズームレンズしか存在しない。ここに、シグマやタムロンの高性能な明るいレンズがラインナップされるのは、嬉しいニュースだろう。

ちなみに、導入が発表されたのは以下の7本。

SIGMA

(2024年7月)

 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

(2024年秋以降順次)

 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary

 16mm F1.4 DC DN | Contemporary

 23mm F1.4 DC DN | Contemporary

 30mm F1.4 DC DN | Contemporary

 56mm F1.4 DC DN | Contemporary

TAMRON

(2024年内)

 11-20mm F/2.8 Di III-A  RXD (Model B060)

35mm換算でいえば、広角ズーム、標準ズーム、広角から中望遠といった領域。

RFのAPS-Cユーザーからすれば上質なレンズが増えるのは嬉しいが、R7でスポーツを撮っているユーザー以外の、R10、R50、R100ユーザーからすると、「予算があれば、いつかはフルサイズ」と思っている人が多いだろうから、ここで上質なレンズに投資するかどうか? というところが悩ましいポイント。

おそらく、一応、フルサイズセンサーモデルに付けて撮ることもできるが、その場合に、どのぐらいの使い勝手になって、どんな絵が仕上がってくるのかも気になるところ。筆者はAPS-CのR10と、フルサイズのEOS R6 Mark IIを持っているので、広報機材としてレンズが借りられるようになったら、ぜひ試してみたいと思っているので、レポートをお楽しみに。