“組織マネジャーに対する評価”と“エンゲージメント”の関係性とは? リーダー・マネジャーは自身の上司・部下に対しどう振る舞うべきか?

「エンゲージメント低下」を抑制するために考えるべき“マネジャーの役割”

上述した調査結果をまとめると、下記の通りだ。

●マネジャーの上司からの「役割遂行や率先垂範」、「部下の成長支援」への評価は部下からの評価を高める一方、「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、「外部情報の提供」への評価は、部下からの評価を下げる傾向にある。

●部下からの「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」への評価は、エンゲージメントスコアを向上させる傾向にある。

●部下からの「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」に対する評価が高い場合、マネジャーの上司からの「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、「外部情報の提供」への評価が部下評価に及ぼす負の影響を緩和、もしくは正に転じさせる傾向にある。

以上の調査結果に対し、リンクアンドモチベーションは、「マネジャーには、組織における上下/左右の情報の結節点としての機能が求められるものの、過剰に上司の方針や意図を確認したり、上司に状況を報告したりする行動は、結果として部下からの評価を低下させるリスクがあり、得た情報をもとに自身で考えて行動し、部下の成長を支援するといった行動が重要である」との考察をまとめた。またその上で、「部下の状況を把握しながら部下に情報を伝達したり、部下への動機づけを十分に行ったりしている場合には、上司への方針確認や状況伝達が良い方向に働く可能性があり、マネジャーが上司ばかりを見てマネジメントを行うと、部下からの評価の低下や、従業員エンゲージメントの低下につながる可能性がある」との見解も示している。

本調査結果から、マネジャーが自身の上司から「役割遂行や率先垂範」、「部下の成長支援」における高い評価を受けている場合、部下からの評価も高まる傾向にあることがわかった。また、部下からの「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」における高い評価が、エンゲージメントスコアを向上させる傾向も示された。加えて、部下による「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」に関する評価に対する“負の影響”を抑制する要素として、マネジャーの上司による「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、「外部情報の提供」への高い評価が有効であることも示唆された。企業内の組織運営にあたるリーダー職・マネジメント職は、中間管理職としての約割や“上下”への振る舞い方に迷うこともあるだろう。本調査結果を参考に、“エンゲージメントを高めるマネジメント”を自身の行動に落とし込んでみてはいかがだろうか。