■I.米国株式市場

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●1.NYダウの推移

 1)3/21、NYダウ+269ドル高、39,781ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは4日続伸し、連日で過去最高値を更新した。上げ幅は一時+370ドルを超えた。
生成人工知能(AI)開発需要が半導体企業などの業績を牽引するとの期待が買いにつながった。米連邦準備理事会(FRB)が年央に利下げに転換するとの見方も引き続き支えとなった。

【前回は】相場展望3月21日号 米国株: 「利下げ回数が3回を維持」という理由で最高値更新の不思議 日本株: 「根拠なき熱狂」に乗るのは慎重にあれ

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、半導体のマイクロンが+14%高で終えた。前日夕発表の四半期決算と見通しが市場予想を大きく上回り好感した買いが集まった。エヌビディアやブロードコムもアナリストによる目標株価の引上げを受け、半導体全体に買いが広がった。

  ・エヌビディアが3/18から開催している年次の開発者会議(GTC)の活況を受け、AI開発需要の盛り上がりが改めて意識された。ハイテク株を中心に買いが入り、NYダウの構成銘柄ではマイクロソフトやセールスフォースが高かった。

  ・FRBが3/20に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通し(ドットチャート)で2024年末の予想が年内▲0.25%の利下げ3回を織り込む水準で変わらなかった。一方、経済成長率見通しを上方修正した。パウエルFRB議長は記者会見で、インフレ鈍化シナリオが概ね変わっていないとの見解を示していた。

  ・市場では「ハト派でポジティブな内容だった」との受け止めがあった。利下げ期待に加え米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まり、投資家心理の支えとなった。

  ・その他の銘柄では、ゴールドマン・サックスやアムジェン、キャタピラーなどが買われた。一方、アップルは売られ▲4%安で終えた。米司法省が3/21、スマートフォン市場で反トラスト法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして提訴したことが嫌気された。ユナイテッドヘルスやコカ・コーラも安かった。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、連日で最高値を更新した。メタプラットフォームズなどが上げた。一方、テスラは下落した。

  ・多くの機関投資家が運用指標とするSP500種指数も、連日で最高値を更新した。

 2)3/22、NYダウ▲305ドル安、39,475ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは5営業日ぶりに反落して終えた。米主要株価指数が連日で最高値を更新した後で、景気敏感株や消費関連株を中心に持ち高調整の売りが優勢になった。ナイキが大幅安となったことも指数を下押しした。NYダウは取引終了にかけて下げ幅を広げた。

  ・NYダウは前日までの4日間に+1,000ドルあまり上昇した。節目となる初の40,000ドル台乗せも近づいている。主要な株価指数が軒並み高値を付けた後で、短期的な過熱感もあり、週末を前に利益確定や持ち高調整の売りが出やすかった。

  ・ナイキは▲7%弱安で終えた。前日夕に四半期決算と併せて発表した収益見通しが市場予想に届かなかった。NYダウの構成銘柄ではないが、スポーツ衣料のルルレモン・アスレティカも前日夕発表の業績見通しが市場予想を下回り、急落した。「消費者は支出先を絞るようになり、消費が減速しかねないとの不透明感を誘った」との声が聞かれた。

  ・人工知能(AI)関連の需要拡大による業績期待も根強く、半導体株の一角が買われたことも投資家心理を支えた。買い遅れていた投資家による物色も続き、NYダウは前日に付けた最高値を上回る場面もあった。

  ・個別銘柄では、今週上昇が目立ったゴールドマン・サックスやキャタピラーが安い。ビザやアメリカン・エキスプレス、ホームデポなど消費関連株の下げも目立つ。一方、アップルは反発した。ボーイングとアマゾンも上昇した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸し、連日で過去最高値を更新した。エヌビディアやアルファベットが買われた。