定年直前でリストラ、難航する再就職。50代男性がどん底から“大逆転”を目指した結果…

<前編のあらすじ>

小池さんは会社員として長年外資系広告代理店に勤めていました。日々真面目に仕事に打ち込み社内では高い評価も得ていましたが、58歳の時に会社から突然リストラを宣言されてしまいます。

仕事に一生懸命取り組んでいた小池さんはあまりにも唐突な知らせに戸惑いますが、奥さんからの応援の言葉もあり前向きに就職活動に取り組むことに。ところが130社応募をしても半数は書類で断られてしまい、再就職がなかなか決まりません。

そんな中で、ハローワークで受けたアドバイスで公務員の募集を知ります。キャリアコンサルタントの方の「公務員募集は募集要項に合致するなら年齢ではじかれることはないので可能性はあります」という言葉に背中を押され、応募をしてみることにしました。

公務員募集の面接結果は?

小池さんは首都圏の役所に20ほど申し込み、面接まで進んだところが3つありました。その結果、なんとそのうちの1つの役所から合格通知をもらうことができました。後で採用を担当した方に話を聞いてみるとかなりの倍率だったそうです。

採用形態は「会計年度任用職員」といって1年契約の任用職員枠で1年ごとに継続してゆく形での採用です。年収は広告代理店時の3分の1ほどになりましたが、「職につけたことが何よりうれしかった」と小池さんは言います。

58歳での退職は会社都合で退職金にも上乗せがあったため、これまで堅実に貯蓄してきたお金が多少なりともありました。その上、再就職によって今後も継続的に収入が得られるという安心感も得られました。

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新しい職場での小池さんの見事な活躍ぶり

とはいえ今までと全く異なる環境での仕事です。最初は小池さん自身公務員の仕事ができるのか不安な中での出発でしたが、予想以上の活躍をします。

仕事は折しもコロナがまん延していた頃。主な業務として担当エリアの中小企業や商店会へ行き、公的補助金の説明をするというものでした。前職で小池さんはクライアントにプレゼンテーションすることが日常業務。得意先に分かりやすく説明することは当たり前のことでした。

ところが役所から発信されている案内文を読んでみると文字が小さく、文章が細かく全部を網羅するように書かれていたことに驚きます。

「これではどこに何が書いてあるのかわからず理解してもらえないだろうな」

そこで端的に伝える内容だけに絞り、大きな文字と図を取り入れ案内文を作成してみました。すると訪問先の方々から思わぬ反応が。

「今までで一番わかりやすく、どうしたらいいか一目瞭然ですね。有り難うございます!」

おかげで地元の中小企業や商店会を訪問した時もわかりやすい説明が好評で、ほとんどの人たちと顔見知りになり、人の役に立てているという実感や達成感が湧いてきました。

こうした活動や実績は役所の中でも話題になり、小池さんに対する見方が大きく変わってきたのです。業績評価も異例の高評価でした。

「今まで当たり前にやっていたことでも、環境が変わるとそれが強みになるのだと気付きました。自分ではわかりませんね」と小池さん。強みは違う勤め先でも発揮できるのだと自信を持つことができました。