不動産関連サービス業 広告宣伝費ランキング2024

広告宣伝費または販売促進費を公開している上場不動産関連サービス企業9社(※)について、2023年11月期までの広告宣伝費・販売促進費の合計額が高い順にランキングしました。あわせて、売上における広告宣伝費の割合が高い順でのランキングも発表します。不動産関連サービス業種はネットメディア等を運営しており、比較的広告宣伝費が高い会社が多いのですが、特に広告に力を入れている企業についてまとめました。

※注=編集部基準

画像=PIXTA

集計方法

  • 2022年12月期から2023年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
  • 「広告宣伝費」「販売促進費」のいずれかを公表している企業をランキング化
  • 「広告宣伝費」と「販売促進費」の両方が記載されている場合は合算した数値を集計
  • 連結発表の企業は、連結した金額で発表

広告宣伝費1位はリクルートHD 2位はLIFULL

順番 会社名 広告宣伝費
(百万円)
広告宣伝費
前年比(%)
売上高
(百万円)
広告宣伝費率(%)
1 リクルートホールディングス 289,309 118.8% 3,429,519 10.0%
2 LIFULL 12,824 89.6% 36,405 31.6%
3 Speee 4,046 145.7% 13,605 43.3%
4 リビン・テクノロジーズ 1,747 101.3% 3,374 52.4%
5 リブセンス 1,567 89.2% 4,757 29.4%
6 アルヒ 801 80.9% 22,601 2.9%
7 じげん 312 112.2% 18,709 1.9%
8 ファーストロジック 95 135.8% 2,093 6.2%
9 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン 108 61.1% 553 11.9%

1位はリクルートホールディングスで、広告宣伝費は3,437億6,700万円でした。前年の広告宣伝費が2,893億9,00万円だったため、前年比118.8%、金額にして544億5,800万円と、コロナの収束を機に積極的に広告費を投じています。

同社は求人広告や人材紹介をメインに、不動産分野では不動産・住宅総合情報サイト「SUUMO」を運営しています。海外進出にも積極的で、人材派遣サービスにおいては日本のほか、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアでも事業を展開、多様な事業を周知するために広告宣伝にもいっそう力を入れているようです。

2位はLIFULLで、広告宣伝費は114億9,500万円でした。前年比89.6%、マイナス13億2,900万円と大きく減額したものの、不動産関連サービスを主たる事業とする会社としては業界1位となっています。

同社は不動産・住宅情報サービスサイト「LIFULL HOME’S」を運営しています。また、地方の空き家問題に取り組み、「LIFULL 地方創生」という空き家再生プロジェクトを展開。令和6年元旦に起こった能登半島地震に関しては、公営住宅等の被災者支援情報の提供を行うなど、国内の住宅問題に積極的に挑んでいます。

3位はSpeeeで、広告宣伝費は58億9,400万円、前年比145.7%は今回の調査で1番の前年比増加率となりました。2007年11月に設立、2020年7月に新規上場と若い企業で、知名度アップのために多くの広告費を投じていることがわかります。

同社はデータを活用したマーケティングコンサルティングや、DX化推進などを主たる事業とする不動産テック企業です。また、不動産売却支援サイト「イエウール」を手掛けます。2024年3月には日経新聞掲載の「社員の士気が高い企業ランキング」5位に選ばれるなど、これから業界でさらに躍進しようとする気概にあふれています。

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売上における広告宣伝費の割合が高いランキング

続いて、売上高における広告宣伝費の割合が高い順にご紹介します。

順番 会社名 広告宣伝費率(%) 広告宣伝費
(百万円)
広告宣伝費
前年比(%)
1 リビン・テクノロジーズ 52.4% 1,747 101.3%
2 Speee 43.3% 4,046 145.7%
3 LIFULL 31.6% 12,824 89.6%
4 リブセンス 29.4% 1,567 89.2%
5 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン 11.9% 108 61.1%
6 リクルートホールディングス 10.0% 289,309 118.8%
7 ファーストロジック 6.2% 95 135.8%
8 アルヒ 2.9% 801 80.9%
9 じげん 1.9% 312 112.2%

1位は不動産メディア「リビンマッチ」を手掛けるリビンテクノロジーズで、売上高の50%以上を広告費に投じています。2位は広告宣伝費ランキングでもご紹介したSpeeeで、多くの費用を割いて知名度の向上を図っています。

調査した9社全体では、広告宣伝費は前年比117.6%となりました。しかしながら、不動産事業が主力ではないリクルートHDを除外すると、前年比101.2%となり、コロナ前とほぼ同等の水準となっています。

ランキングを俯瞰すると、広告費を10%以上増やした企業が4社、10%以上減らした企業が4社で、ほぼ前年通りだった企業はリビンテクノロジーズ1社のみでした。先の読めない世界情勢の中、積極的に広告費を投ずる企業と広告費を控える企業がはっきり分かれる結果となりました。