香川県高松市を拠点に置き、エネルギー事業を主軸に多岐にわたる事業を展開する「株式会社ヤマウチ」はこの度、株式会社108&Co.が運営するヨガ関連アイテムを扱うEC事業「108.Tokyo」を譲り受けされました。

ヤマウチは近年、数多くのM&Aを実施しており、会社を着実に成長させています。同社のM&A推進部門・ゼネラルマネージャーである金子様に、今回のM&A案件の背景や舞台裏、M&Aに対する基本的な考え方、そしてPMI(M&A成立後の統合プロセス)を成功させるポイントなどについて伺いました。

 

譲渡企業
社名 株式会社108&Co.
業種 EC事業(フィットネス関連商品)・ジム運営
拠点 神奈川県
譲渡理由 選択と集中

 



 

譲受企業
社名 株式会社ヤマウチ
業種 エネルギー事業など
拠点 香川県
譲受理由 既存商品・サービスの強化

 

 

【企業概要】

会社名:株式会社ヤマウチ

設立:1950年5月

売上高:382億円(2023年3月期)※ヤマウチグループ

従業員数1,989名(2023年2月時点)

代表者:岡本 将

 

積極的なM&Aにより、従業員約2,000名規模まで成長

1932年(昭和7年)に創業されたヤマウチは、石炭・石油・ガソリンなどのエネルギー事業を主軸として事業をスタート。1990年代後半以降は、外食産業やスポーツクラブ事業といった異業種にも積極的に進出し、時代の変化に合わせた柔軟な事業展開を行っています。

2011年には、子会社および孫会社13社で構成される「株式会社オカモトホールディングス(本社:北海道帯広市)」へ完全子会社化。現在の主要事業は、エネルギー、カーメンテナンス、スポーツ、介護、美容、フード、指定管理事業など多岐にわたります。

直近数年はM&Aにも積極的に取り組んでおり、スイミングスクール、フィットネスジム、介護サービス・高齢者向け施設など、主要事業とシナジーがある企業・事業を中心に複数のM&Aを実現。そして、2024年1月にバトンズを通じて新たに譲受したのが、フィットネス関連商品を扱うEC事業「108.Tokyo」です。

ヤマウチでは、現在少数のメンバーで構成されたM&A推進部門が設置されており、迅速なM&Aを実現する原動力になっています。M&A推進部門の金子様は、ヤマウチのM&A体制について以下のように解説します。

「現在、弊社では経営企画本部の中に、M&A推進部門を設置しています。この部門のメンバーは、代表岡本のほかに、実務担当として私と他1名が配置されています。我々はこの3名で、候補に上がった譲渡案件を基に、交渉を進めるべき事業か否かを精査しています。」

 

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譲渡案件の選定には、オーナーの譲渡背景や想いも重視

これまで多くの成約実績を持つヤマウチですが、譲渡案件を選定する際にはどのような基準を設けているのでしょうか。

「業種の絞り込みでは、弊社の既存事業の領域だけにこだわらず、異業種も視野に入れています。選定する際には、譲渡企業様の現在の財務状況はもちろん重要ですが、事業を譲り受けた後の成長戦略やシナジー効果を明確に描けるかがより大切な指標となります。

我々はM&Aに取り組むにあたり、譲渡オーナー様がお持ちの従業員や事業への想いをしっかりと引き継ぎ、更なる成長を実現することが使命であると考えています。そのため、条件交渉では早い段階でオーナー様と直接コミュニケーションをとることを優先させています。」

オーナーの想いをヒアリングする中で、『こんな風に事業を成長させたかった』といった話が出ることもしばしばあるとのこと。このような要素も含めて、責任を持って譲り受けたいと思えるかどうかをポイントとしていると金子様は話します。

意向表明を提示する前段階では、譲渡オーナーの想いに共感すること、成長戦略とシナジーを描けることが必須としているヤマウチ。とくに事業承継型のM&Aに多く取り組むヤマウチは、M&A実施後も友好的な関係を築ける譲渡先であることを、譲受を決める基本方針としています。