■I.米国株式市場

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●1. NYダウの推移

 1)7/24、NYダウ+183ドル高、35,411ドル(日経新聞より抜粋
  ・4~6月期決算発表を控えた企業の好決算を期待した買いが入り、昨年2月以来およそ1年5カ月ぶりの高値で終えた。11日続伸は2017年2月以来。NYダウの上げ幅は+200ドルを超える場面があった。
  ・7/25~26開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、+0.25%の利上げを決めるとの見方が優勢。市場では今の利上げサイクルでは最後になるとの観測があり、金利上昇への過度な警戒は和らぎつつある。
  ・米SPグローバルが7/24発表した7月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0と市場予想46.7を上回った。「金融引締めが続くなかでも、景気が底堅いことを示した」との受け止めがあり、株式相場の支えとなった面がある。
  ・NYダウは前週末までの10営業日で+1,500ドル近く上昇した。主力銘柄の一部には利益確定目的の売りが出る一方、株高の継続で相対的な運用成績の悪化を避けようとする機関投資家の買いも入りやすかった。
  ・石油のシェブロンが上昇した。7/23に発表した2023年4~6月期の1株利益が市場予想を上回った。金融のゴールドマンサックス、航空機のボーイング、ホームセンターのホームデポも買われた。半面クレジットカードのアメリカンエキスプレスや製薬のメルクが下げた。

【前回は】相場展望7月24日 日本:日本株上昇の牽引役・海外投資家の「買いが止まる」

 2)7/25、NYダウ+26ドル高、35,438ドル(日経新聞より抜粋
  ・朝方に決算を発表した工業製品・事務用品のスリーエムなどが上昇し、NYダウは昨年2月以来およそ1年5カ月ぶりの高値を更新し、NYダウの12連騰は2017年2月以来の6年5カ月ぶり。ただ、7/26に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて、引けにかけて伸び悩んだ。
  ・2023年4~6月期決算と併せて2023年12月通期の1株利益見通しを引上げた3Mが+5%余り上げた。1株利益が市場予想以上だった化学のダウや通信のベライゾンも買われた。ハイテク株の上昇に出遅れていた景気敏感株全般に物色が盛んだった。
  ・7/25の通常取引終了後に4~6月期決算を発表するソフトウェアのマイクロソフトも高かった。来週にかけて決算発表がある主力ハイテク銘柄には業績改善を期待した買いが入った。
  ・7/25午前発表の7月米消費者信頼感指数が117.0と、市場予想112.0を大幅に上回って、2年ぶりの高水準となった。インフレに鈍化が見られる一方で、米景気が底堅さを保っている。米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が一段と強まっているのも投資家心理を支えた。
  ・FOMCでは2会合ぶりに+0.25%の利上げを決めると見られる。市場では7月に利上げした後、しばらく政策金利を据え置くとの見方が多い。米景気に対する楽観が高まるなか、年前半の株高に乗り遅れた機関投資家の買いが続いたとの指摘があった。
  ・NYダウは+110ドル余り上げる場面があったが、引け間際に上値が重くなった。前日までの11営業日で+1,600ドル余り上昇した。FOMCの結果や声明、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の会見を見極めたいとして持ち高を傾けにくい雰囲気があった。
  ・保険のトラベラーズや製薬のメルク、金融のゴールドマンサックスなどが下落。引け後に決算発表するネット検索のアルファベット、7/26に決算予定の交流サイトのメタが高い。7/24夕に発表した四半期決算が市場予想を上回ったオランダの車載半導体NXPセミコンダクターズが上昇し、半導体株が連れ高した。

 3)7/26、NYダウ+84ドル高、35,522ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)は7/26の米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の想定通り+0.25%の利上げを決めた。パウエルFRB議長が記者会見で次回会合で政策金利を据え置く可能性に言及し買いが優勢となった。
  ・FRBは政策金利を+0.25%引上げ、5.25~5.50%にすると決めた。インフレ率が目標の+2%を上回る現状を踏まえ、一段の金融引締めが必要と判断した。多くの市場参加者が見込んだ通りの結果で、発表直後の相場の反応は限られた。
  ・パウエル議長の会見が始まるとNYダウは上げ幅を拡大。前日に比べ一時+200ドル近く上昇する場面があった。「今後の会合については何も決定していない」としつつも、物価目標など経済データ次第では「次回の9月会合で再び利上げする可能性もあるし、据え置きを選ぶ可能性もある」との認識を示した。米経済が底堅さを維持している点にも触れた。今回が今の利上げサイクルで最後の利上げになり、米経済が景気後退を回避できるとの期待が意識された。
  ・企業業績の改善への期待も相場を支えた。航空機のボーイングは7/26発表の2023年4~6月期決算で売上高が市場予想を上回り、株価は+9%上昇する場面があった。ネット検索のアルファベットも4~6月期決算が市場予想を上回り、株価が大幅高となった。
  ・買い一巡後は上げ幅を縮めた。NYダウは前日までの12営業日で+1,700ドル余り上昇した後で、利益確定売りが出た。
  ・工業製品・事務用品のスリーエムや飲料のコカ・コーラが上昇した。半面、7~9月期の業績見通しが冴えなかったソフトウェアのマイクロソフトが下落。建機のキャタピラーや石油のシェブロンにも売りが出た。