東京・六本木に本社を置くバーチャルオフィス事業、プライベートレンタルオフィス事業を営む「株式会社NEW HORIZON」はこの度、東京都で和装レンタル、振袖・一般呉服・紋付袴等のレンタル販売事業を行う「有限会社ベベノジマ」をバトンズを通じて譲り受けされました。

自社のマーケティングを活かした経営戦略として、異業種のM&Aに踏み切ったNEWHORIZONは、どのような事業ビジョンを描き、着物の販売・レンタル事業を引き継がれたのか。代表取締役の牧田友里様にお話を伺いました。

 

譲渡企業
社名 有限会社ベベノジマ
業種 アパレル・ファッション(振袖・呉服 販売、レンタル)
拠点 東京都
譲渡理由 後継者不在

 



 

譲受企業
社名 株式会社NEW HORIZON
業種 法人向けサービス業(バーチャルオフィス事業 など
拠点 東京都
譲受理由 新規事業への参入

 

経営コンサルのノウハウを活かし、M&Aによる事業拡大を目指す

牧田様が代表取締役を務めるNEW HORIZONは、バーチャルオフィス機能を備えたレンタルスペース事業を展開する会社として、2019年に設立されました。

現在は、マーケティングを活用して経営戦略をサポートするコンサルティング事業も手掛けており、2つの事業を掛け合わせて事業を成長させています。

母体となるレンタルスペース事業は、フランチャイズ化をすることで事業拡大を図る経営計画であったNEW HORIZON。二店舗目をFC店として展開し、事業拡大の仕組みが整ってきたことから、次のステップとして経営計画に組み込んでいたM&A戦略へと本格的に乗り出します。

「新しく0から事業を作るとなると、ノウハウ蓄積や業界との関係構築などから地道に始めないといけません。資金も時間もかかりますし、リスクも高くなります。また、私たちはマーケティングと経営戦略によっていくつかの事業を成長させた実績があるので、それらのノウハウを活かすという上でも、M&Aは最適だと思い、経営戦略に組み込みました。」

これまで、経営コンサル事業として多ジャンルで他社の事業成長に貢献してきたNEW HORIZONは、それらのノウハウと経験を活かし、M&Aを活用した自社事業の拡大を図ります。

 

(広告の後にも続きます)

複数の検討基準を設け、経営戦略を活かせる譲渡案件を探索

マーケティングと経営戦略を活かした事業成長を図るにあたり、業種は拘らずに幅広く譲渡案件を見ていたという牧田様。事業再生の戦略が描ける事業を引き継ぐべく、予算内の案件を複数同時並行で検討していました。一方で、具体的な交渉へと進むには8つの基準を設けていたと話します。

「既存事業の拡大には投資金が必要なので、まずはそれに影響を与えない予算で探していました。加えて、自社から1時間半以内で移動できるエリアであることも基準の一つでした。やはり、コスト面やマネジメント面などを考えてもあまり遠くないエリアが良いという思いからです。

ビジネス面で重視していたことは、BtoCの事業が展開できるかどうかです。当社のマーケティング戦略が活かせるのはBtoCの領域なので、BtoCの事業展開が見込めないものは選択肢から外していました。」

譲渡目的では、後継者不在でM&Aを検討している企業を中心に検討していたと話す牧田様。異業種への参入となる場合、業界特有のスキルやノウハウがないため、現経営者や従業員からM&A実施後も協力が得られることが重要だったからだと話します。

「当社はコンサル事業の強みを活かしたM&Aを検討しているので、その業界を詳しく知っているわけではなく、買収検討を始めてから詳しく調べていくので、引継ぎ後も前代表や従業員の協力が得られることが重要となります。そのため、ビジネス側面が強くM&A実施後はすぐに手離れさせたいような事業者ではなく、事業に思い入れがあり、承継後の事業成長に協力的な方から会社を譲り受けたいと思っていました。」

企業の特徴については、一過性のブームに乗ったようなビジネスは避け、経営年数が長い歴史ある事業を中心に見ていたとのこと。年数が長いほど、過去の情報を遡って分析できるため経営改善が見込めたり、取引先含め長年のコネクションが築けている可能性が高いなど、プラスの要素に働くことが見込めるからだといいます。また、立ち上げ後すぐに譲渡を考えられたということは、経営に何かしら問題がある場合や、事業自体が成長しないと判断した場合が多いのではないかとも話します。

「財務面でいうと、売上と営業利益との差も見ていました。たとえば、1000万円の売上があって赤字額が100万円であれば早期に改善が計れますが、1000万円の売上で赤字額が600万円だと、回復まで時間がかかります。人材面やビジネスモデル、予算やエリア、財務面や引継ぎ後の経営構想など、多角的に見て次のステップに進むか否かを検討をしていました。」