東京都あきる野市で振袖・一般呉服・紋付袴等のレンタル・販売事業を手がける「有限会社ベベノジマ」はこの度、「株式会社NEW HORIZON」に会社譲渡を実現されました。長年お母様と一緒に運営してきた事業を次世代に繋いだ野島近代様は、M&A後も数年は店舗に残り、お客様の対応や着付けを続けられます。

成人式の前に体調を崩し、事業の今後を意識し始めたという野島様。約6ヶ月の交渉期間でどのような経緯があり、NEW HORIZONへの譲渡を決断したのか。野島様に詳しくお話を伺いました。

 

譲渡企業
社名 有限会社ベベノジマ

業種 アパレル・ファッション(振袖・呉服 販売、レンタル)
拠点 東京都
譲渡理由 後継者不在

 



 

譲受企業
社名 株式会社NEW HORIZON
業種 法人向けサービス業(バーチャルオフィス事業 など)
拠点 東京都
譲受理由 新規事業への参入

 

時代に合わせた事業を展開し、約30年続く着物専門店

1998年から20年以上、振袖の販売・レンタル事業と写真スタジオを運営してきた有限会社ベベノジマ。代表を務める野島様のお母様の代から続く、地域に根付いた着物専門店です。野島様のお母様が定年を迎えたタイミングで始めたお店の代表を野島様が引き継いだのが、今から5年前のこと。

60歳で定年を迎えた母が何か商売を始めたいということで始めたのが、ベベノジマの事業になります。元々母の実家が呉服屋さんを営んでいたこともあり、馴染みのある着物専門店をオープンすることになりました。

バブルの頃は呉服を購入するお客様も多かったのですが、時代の移り変わりにより着物離れが進み、今では一般の方が着る機会は激減しています。着物離れが始まった頃に振袖事業を立ち上げて、事業としてはどうにか立て直すことができました。振袖事業をやっていなければ、かなり大変だったと思います。」

東京都あきる野市にお店を構え、地元のお客様が100%だというベベノジマ。振袖は常時300枚以上揃えており、姉妹での利用も多いと言います。帯をはじめ、付属する小物商品も様々なバリエーションの色や柄、サイズを豊富に取り揃えていることが特徴で、購入・レンタルどちらも可能。また、美容室と提携をしており、着付けから前撮りまでセットでできるとお客様から好評があります。

コロナ禍には、必須となったマスクを振袖に合う帯地で作成。一生に一度の成人式を楽しんでもらいたいという願いを込めて、豪華さと華やかさ、肌当たりの良さも兼ね備えたマスクを、振袖を利用いただいたお客様にプレゼントを行っていました。

このように、時代に合わせた商品・事業展開をしてきた野島様ですが、後継者がいない事業の今後を考え始めます。

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「自分が体調を崩したらお店が回らない」コロナをきっかけに後継者を意識

愛情を込めてお母様と二人三脚で運営されてきた着物店ですが、ある出来事をきっかけに事業の後継者問題を意識し始めたと野島様は話します。

「もう母親も94歳なので、お店の仕事も頼めることが少なくなってきました。着付けはそう簡単に誰でもできるものではなく、ある一定のスキルや知識がないと難しいです。私も60を過ぎたので、後を継いでくれる人は早めに探し始めた方がいいなと考えていました。

本格的に考えるきっかけとなったのは、お店の一大イベントである成人式の少し前に、私がコロナにかかってしまったことです。着物や美容室の手配など全て私が担当しているので、もう少しタイミングがずれてお客様の着付けができなくなっていたことを想像すると、今考えてもゾッとします。

私が体調を崩したらお店が回らなくなってしまうという状況は深刻だと思い、商工会や銀行など、いろいろな人に相談しに行ったんです。そんな時に教えてもらったのが、東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターの存在でした。そこで、M&Aという方法があるということを教えてもらい、バトンズにも繋いでもらいました。」

成人式は1年先、2年先の予約が当たり前であるため、万が一自分が体調を崩してしまった場合、成人式という人生で一度きりの晴れ舞台に迷惑をかけてしまう。そんな不安感からM&Aを本格的に検討しはじめた野島様は、バトンズを通じて後継者探しに乗り出します。