イオンリテールが2020年スタートした商業施設の新フォーマット「そよら」は、若年層を取り込み、好調だ。6月1日には、通算4店舗目、関東初出店となる「そよら湘南茅ヶ崎」(神奈川県茅ヶ崎市)をオープンした。

<そよら湘南茅ヶ崎>


「そよら湘南茅ヶ崎」は「イオンスタイル湘南茅ヶ崎」をリニューアルしたもの。「イオンスタイル湘南茅ヶ崎」は、1995年3月にGMS「茅ヶ崎サティ」としてオープン。2011年に「イオン」へ改称し、2015年9月には「イオンスタイル湘南茅ヶ崎」へと刷新した。

「そよら」は、2020年都市部の生活ニーズを満たすイオンリテールの新フォーマットとして、開発された。同年3月オープンの「イオンスタイル海老江」(大阪市福島区)の出店に合わせて実施した一般公募により選出された「そら、寄って、楽しんでって!」の呼びかけを由来とした名称となっている。日常にさわやかなそよ風が吹き込むように、都市に住む人々の生活をもっと楽しく、心地よく過ごすための施設になりたいという思いを込めたという。

<テープカットする井出社長>



※右から2人目井出武美社長

井出武美社長は「そよらの名称には、都市に住む人の生活を楽しく、心地よくしたいという願いを込めた。改装でフード&ドラッグ、DIYとエンターテインメント、雑貨と家電を強化した、買い物だけでなく、エンタメ、学びを充実。デジタルサイネージによる行政・地域情報の発信なども行う」と説明している。

<デジタルサイネージによる行政・地域情報発信>


「イオンスタイル海老江」に続き、2021年7月「そよら新金岡」(堺市北区)、2022年4月「そよら上飯田」(名古屋市北区)がオープンしている。

<簑原邦明 執行役員 SC本部長>


簑原邦明 執行役員 SC本部長は、「コンセプトは、子ども連れで快適に過ごせる場所とした。スーパー、ドラッグ、クリニックなど生活に便利なテナントがワンストップでそろい、毎日通いたいくなる、人々が集う施設を目指している。そよら既存店は若年層の利用が増えている。スーパー、ドラッグ、クリニックなど生活に便利で、トレンドよりベーシックを重視した店舗構成となっている。0~14歳までの若年人口が全国平均より高い茅ヶ崎の地域特性を生かし、Z世代など若年層、ファミリーを取り込みたい。今回新規出店するカインズ、ダイソー、アウトドア関連などテナントの集客効果も期待し、施設全体で売り上げ1.4倍を目指す」と意気込みを語った。

専門店49店舗のうち、新規出店テナントは12店舗。新テナントの集客効果で、直営の食品も売り上げ2桁増を期待している。直営と専門店の比率は、直営57%・専門店43%から、直営店24%・専門店76%となった。

なお、「そよら」へのリニューアルを機に近隣の「イオン茅ヶ崎中央店」は、キッズ・ホームファッションの品ぞろえを拡充。旧「イオンスタイル湘南茅ヶ崎」の好調だったキッズも集約した。日常使いと体験のそよら、全世代の衣食住に対応する「イオン茅ヶ崎中央店」の2つのSCで、さらに茅ヶ崎エリアの顧客を取り込み、売り上げを強化したい考えだ。

■アウトドア・雑貨のテナント強化

「そよら湘南茅ヶ崎」の専門店は、スーパー、日用品、ファーマシー、ベーカリー、クリニック、ジム、教室、美容室、クリーニングなど、日常生活において高頻度で利用する分野を集約している。ホームセンター「カインズ」と小型専門店型ライフスタイルショップ「ハンズ ビー」が同時出店した。

カーライフ提案型ディーラー「ウエインズトヨタ神奈川」の新コンセプトショップ「S-Factory shonan」、キャンプ飯とギアの専門店「MAX CAMP」、大創産業の「DAISO」「Standard Products」「THREEPPY」の3業態が同時出店し、よりさまざまなライフスタイルに対応し、買い回りしやすい構成となっている。

<カインズ>


「カインズ」と「ハンズ ビー」は、2例目となるSC内同時出店。「CAFE BRICCO」も導入する。

<CAFE BRICCO>


「カインズ」では日用品、DIY、アウトドアグッズ、観葉植物、防災用品と幅広くそろう。

<ハンズビー>


「ハンズ ビー」は、プチプラコスメから、オリジナルスキンケア、ステーショナリー、ギフト雑貨、シーズン雑貨といった日常の生活に彩りを加える、魅力ある商品をセレクトしている。

<S-Factory shonan>


カーディーラーの「ウエインズトヨタ神奈川」は、アウトドアやDIYの趣味にあわせた車の提案を行うオリジナル店舗「S-Factory shonan」を出店した。

<MAX CAMP>


キャンプ調理にも役立つ万能スパイスの品ぞろえが豊富で人気上昇中のキャンプ飯とギアの専門店「MAX CAMP」も登場し、コロナ禍もあり盛りあがっているアウトドア需要に対応する。

<THREEPPY>


アイデアあふれる生活必需品を扱う「DAISO」、サステナブルな商品などこだわりの「Standard Products」、トレンドカラーで暮らしに彩りを添える「THREEPPY」がそろい、さまざまな雑貨を選ぶ楽しみを提供する。

<ノジマ>


家電の「ノジマ」は、売り場面積を2倍以上に拡大し、エアコン、洗濯機などより豊富に取り扱う。

■冷凍食品やリカー売場を拡大

<リカー売場を拡大>


今回のリニューアルに先行して、2022年9月には冷凍食品、リカー売場を拡大した。顧客自身が買物しながら、商品のバーコードをスキャンし、専用レジで支払う「レジゴー」を導入している。

<「レジゴー」を導入>


2023年3月に、日常使いの化粧品・日用品売場を4割増へと拡大。中でもペットフードやペット用品を拡充し、小動物のフードをはじめ、おもちゃ、ハーネス、ベッドなどをそろえた。

<ペット用品を拡充>


Z世代に人気のアジアンコスメも充実させている。

<アジアンコスメも充実>


需要が増加する冷凍食品は、約690SKUから約740SKUに拡大。平台10台を導入し、商品を見つけやすいレイアウトに変更した。

特に、すかいらーくグループ、リンガーハットといった外食のメニューが楽しめる冷凍食品、韓国のキンパなどを新規に取り扱う。

<韓国メニューの冷食を拡大>


茅ヶ崎で親しまれている和菓子店「湘南冨士美」など銘菓コーナーをリニューアル。手土産から自家需要まで対応する。

「そよら上飯田」では毎日にのように、顧客参加型のイベントを開催し、好評を得ている。「そよら湘南茅ヶ崎」でもカインズと連携したDIY教室、地域住民の発表会などを実施予定だ。

<212インチの大型サイネージ>


正面入り口に212インチの大型デジタルサイネージを設置し、さまざまな情報を発信。約300席を備え、大人から子どもまで楽しめるフードコートなど、通う楽しみを提供する工夫を凝らしている。

<約300席を備えたフードコート>


■そよら湘南茅ヶ崎
所在地:神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎2-7-71
開業日:1995年3月1日
改装オープン:2023年6月1日
敷地面積:約2万5467m2
延床面積:約6万3067m2
駐車台数:約650台
駐輪台数:約730台
SC構造:地上4階建て
核店舗:イオンスタイル湘南茅ヶ崎
専門店数:49店舗
営業時間:1階直営売場 8時~22時
イオン薬局(調剤薬局)10時~19時
※一部営業時間が異なる売場あり
休業日:年中無休

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