日経平均株価が3万円台に上昇し、株式投資の副業を行っている人には嬉しいニュースとなっている。さて、今回の株高は投資の副業をするのに絶好のチャンスなのだろうか。本記事では、株価上昇の要因や懸念材料、株式投資の副業で注意すべき点について紹介する。

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■株価上昇の理由は複合的

 5月22日、日経平均株価は8営業日連続で続伸。3万1000円台の株価はバブル崩壊後の最高値であり、33年ぶりの高値となった。わずか8日間で株価は約2,000円も上昇し、その後はやや下げたものの、26日の終値でも3万円台を維持している。

 こうした急激な株価上昇の理由については、複数の要因が考えられる。まずはバークシャー・ハサウェイを率いる著名なアメリカ人投資家、ウォーレン・バフェット氏の影響だ。バフェット氏は4月、日経新聞の取材に対して日本の5大商社への投資を積極的に行っていると明かした。この報道後、伊藤忠、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事といった5大商社の株価が一斉に上昇している。

 5月6日に行われた、バークシャー・ハサウェイの年次株主総会においては、バフェット氏は「台湾よりも日本への投資に前向きである」という主旨の発言をしている。

 また円安による日本株の割安感や、日銀の植田和男新総裁が金融緩和政策を明言したことも、バフェット氏の影響とともに株価上昇に繋がっている。5月8日からは新型コロナが5類に移行し、商業活動の活発化と消費マインドの改善が期待されることも、海外投資家の関心を引き付ける要因になっていると推測できる。

 さらに、15日にはT&Dホールディングス、17日にはソニーといった大手企業が相次いで自社株買いと行うと発表した。自社株買いは、株主への還元や、投資家へのアピールを目的として行われることが多い。

 企業が発行した株式を自ら買い戻すため、市場に出回る数は少なくなり、結果として株主の保有する1株ごとの利益配分が高まるのである。自社株買いは株主側にもメリットが大きく、好感を与えることから株価の上昇に繋がりやすい。

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■過剰に期待せず慎重な投資で副業するのが重要

 株価がバブル後の最高値更新といったニュースを耳にすると、投資の副業に絶好のチャンスと考えるだろう。だがこのまま株価が上昇するかは、日本経済を取り巻く状況を見てから判断したい。

 今回の株価上昇を注視すべき理由のひとつめは、銘柄によって株価の上がり方にバラツキがある点だ。本格的な好景気と判断できる場合、全般的に株価が上昇するはずである。しかし個別銘柄を見ると、上昇するものと逆に下げるものとが混在している。そのため、長期的な株価上昇になるかは慎重に判断しなければならない。

 次に、アメリカの債務上限引き上げ問題だ。バイデン政権は、債務上限引き上げ法案を巡って共和党と対立している。上院は民主党が過半数を占めるが、共和党が過半数を占める下院議会では、同法案の通過は難しい状況だ。この問題についてはトップ同士が合意に達したものの、議会の通過はいまだ不透明であり、決裂した場合は、6月上旬にもデフォルト(債務不履行)に陥ると予想されている。

 22日まで上昇を続けていた日本の株価が、以降は一進一退を続けている理由も、こうしたアメリカの先行き不透明感にある。仮に今後、アメリカ政府がデフォルトになれば、経済の混乱は避けられない。そうすれば、相対的に安全と考えられる日本円が買われ急激な円高となり、同時に株安にも発展する可能性がある。

 株価上昇の材料も出尽くした感じが否めず、追加の好材料が出るまでは長期的な株高となるかは判断できない。

 株価が3万円台となっても、すぐに副業での株式投資に進むのではなく、まずは一つ一つの状況を確認してみよう。株でもうけたという人の話を聞いても、すぐに飛びついてはいけない。

 副業での株式投資は、株価の上昇局面でも下降局面でも、実はいつでも始めることが出来る。だからこそ、株価がバブル後最高値になったと言うことだけを見るのではなく、慎重に状況を分析した上で、それでも始めて問題ないと考えられたなら、まずは少額から少しずつ経験を積んでいくのが良いだろう。