●2.米国株:市場は、またも楽観「FRBの金利引上げ停止」報道で株価上昇に、注意

 1)ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)が報道した「金利引上げ停止」で、米国株は上昇した。その後、そのニュースに追随する記事は出てこない。株式相場は「噂」で買われ・売られることがあるが、このようなネタには注意したい。確かに、米連邦公開市場委員会(FOMC)が1/31~2/1で開催され、「利上げ幅について討議」されるが、内容は「+0.5~+0.25%」の範囲での討議だと思われる。いずれにしても、米金利は利上げされる状況にある。一部経済指標では鈍化を示すものが出始めているが、指標は依然として高水準にある。それだけに、「利上げ停止」のような「噂」を流して儲けようとする情報には注意したい。

 2)決算発表シーズン入りしたが、失望売りが目立ち始める
  ・ボーイング   4年連続赤字、2022年は▲6,500億円赤字、品質問題が響く
  ・マイクロソフト 1~3月売上見通しが予想を下回る、景気減速懸念
  ・スリーエム   1株利益が予想を下回る。

 3)失望売りで株価が叩かれても、その後「金融引締めの緩和」で出て買い直されている。
  ・これは、相場の地合が「楽観ムード」にまだ包まれているからだろう。

 4)決算発表が本格化されるが、企業業績が予想を上回るか否か、注目したい。
  ・米国の経済成長率は、2022年+1.8%⇒2023年+0.4%と、国連などが予想している。+0.4%程度は、マイナスに転落する可能性がある数値である。頼みの中国経済の2024年+4.8%回復見通しも、感染爆発の後のリオープン(経済再開)を期待したものである。警戒を要すると思われる。
  ・このような2023年経済成長の状況下で、企業業績は都合良く期待したものになるだろうか。

 5)欧米中央銀行の資金回収が株式市場に及ぼす影響も、見定めたい。

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●3.株価上昇は景気減速と「衝突」へ、売りの舞台整う=コラノビッチ氏(ブルームバーグより抜粋

 1)景気が下降局面に向かっている時期に、株式相場は上昇している。これは「衝突」するしかない。金利上昇で消費者の底力が弱まるのに伴い、米欧経済がリセッション(景気後退)入りすると予想している。これは一斉売りの舞台を整えることになる=JPモルガンチェースのコラノビッチ氏コラノビッチ氏はウォール街で最も強気なストラテジストの1人だったが、12月半ばに株式の推奨配分を縮小。上値を追わないように警告する慎重派に加わった。その理由として、今年の軟調な経済見通しとFRBの過度な金融引締めへの懸念を挙げた。株式相場は、弱い経済指標と企業利益見通し悪化を背景に、下落と予想。

 2)リスクを積み増すのは時期尚早だ=クレディSのグローバルCIOのストロバーグ氏

 3)2024年には相場が回復に転じるものの、2023年は米経済が企業の収益不況に見舞われる厳しい年になると予想=モルガン・スタンレーのウィルソン氏