「フリーランス」といえば、会社の縛りから脱却し、自由と裁量ある仕事を手にした人とイメージされがちです。もちろん収入は不安定ですが、自分の実力次第では会社員と同等か、それ以上に稼ぐこともできます。

それゆえ、フリーランスから会社員になると、どうしても「負け」のような気がしてしまうもの。しかし、本当にフリーランスから会社員になることは「負け」なのでしょうか。

「新卒フリーランス」という、会社員とは一番遠いキャリアを歩んできた私が、あえて会社員にチャレンジして思ったことをまとめました。

「週5日フル出社」への反発から新卒フリーランスへ

私が就職活動をしていた2019年は、まだコロナ禍前。リモートワークやフレックスが十分浸透していたとは言い難く、「就職=週5日フル稼働、フル出社」が当たり前でした(少なくとも、当時の私はそう思っていました)。

しかし、学生時代のアルバイトですら、極力働きたくなかった私には到底受け入れられません。結果、大学3年生の夏には就活を中断し、就職以外で生きていく道を探るようになります。

その過程で浮上してきたのが「フリーライター」という生き方です。

フリーライターは勤務地や勤務時間に拘束されず、働き方次第で「リモート週3日勤務」のようなことも可能だと考えていたからです。実際、いま振り返ってもこの感覚は間違いではありません。

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Workship MAGAZINE

ただ、学生時代に出版社でアルバイトをしたり、Webメディアでインターンをするなどといった実務経験は、一切ありませんでした。

それでも「文章を褒められることも多いから、やるならライターしかないでしょ」と思い、大学3年生の冬に「新卒フリーランス化を前提にした、学生フリーランスとしての活動」をスタートしました。

もちろん、完全未経験なので最初はクラウドソーシングからのスタートでした。

幸運なことに、学生時代から友人に出版関係者がいたこと、大学で専門にしていた歴史の知識を活かせるようになってきたことで、大学卒業時にはある程度大きなメディアで仕事ができるようになっていました。

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書籍を出して気づいた「達成感と燃え尽き」

フリーライターとしての事業は(コロナ禍の初期を除き)順調に推移していきました。やがて取材案件も受けられるようになり、生きていくには困らない収入になってきます。

一方、完全未経験のひとりライターとして働き続ける限界も感じはじめ、ちょうど人手を募集していたWorkship MAGAZINE編集部に業務委託の形でジョインしました。

Workship MAGAZINEではライター兼編集者としてフリーランス関連情報を発信し、個人では歴史を中心にした記事を執筆するライターとして活動する。この両輪がうまく回るようになり、力も大きく伸びた時期だったと思います。

こうした活動を続けてた2021年、私のもとに「歴史関連の書籍」執筆のオファーが届くようになります。

クラウドソーシング出身の“Webライター”にとって、書籍の執筆にかかわるのは思ってもみなかったこと。当然ながら快諾し、2023年までに計5冊の書籍にかかわりました。

うち1冊は「著者:齊藤颯人」と大々的にリリースされた書籍『胸アツ戦略図鑑』で、ライターとしてかなりの達成感を覚えることになりました。

でも、ここでふと思ったんです。書籍を出した後のライターって、何を目標にすればいいんだろう。

もう1冊本を出しても、おそらく1冊目ほどの感動はないでしょう。ベストセラーを目指すといっても、自分の中にはそこまでの勝算がありませんでした。

そんなことを考えているうちに、なんだか次の目標が見えなくなってきてしまったのです。