東京商工リサーチが2024年1~2月における「人手不足」関連倒産の状況を発表。新型コロナの鎮静化による業界の活性化やインバウンド需要の回復により、サービス業などを中心に人手不足に陥っている企業の倒産が増えていることが分かった。

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■毎月10件超えの高い倒産ペースが続く

 22日、東京商工リサーチが2024年1~2月における「人手不足」関連倒産の状況を発表した。1月と2月に発生した人手不足に関連する倒産件数はともに12件となり、2023年2月以降13カ月連続で10件超えの高い水準での倒産件数が続いている。

 また2023年度(23年4月~24年2月)の累計倒産件数は150件となり、前年度同期比約2.2倍に大きく増加。これまで年度別で最多だったのは2019年度の160件。23年度は月平均13.6件であることから、年度ベースで過去最多を更新する可能性が高くなっている。

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■「人件費高騰」型の倒産が急増

 23年度の150件における倒産の要因では、「求人難」が最も多く59件、次いで「人件費高騰」が52件、「従業員退職」が39件となっている。

 倒産件数の多かった19年度(160件)は、「求人難」が73件、「従業員退職」が51件、「人件費高騰」が36件だった。要因として全体に占める割合で「求人難」が最も多い状況は変わらないものの、割合そのものは減少(19年度:45.6%->23年度:39.3%、以下同じ)。「人件費高騰」が増加(22.5%->34.7%)、「従業員退職」は減少(31.9%->26.0%)している。

 大手企業と中小企業、輸出企業と内需企業で賃上げ状況の格差が生じていることから、賃上げを含めた従業員の待遇改善が進まない企業では、今後も人手不足がより深刻になると予想される。