■I.米国株式市場

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●1.NYダウの推移

 1)9/25、NYダウ+43ドル高、34,006ドル(日経新聞より抜粋
  ・前週に下げが続いた後で、一部の銘柄に値ごろ感からの買いが入り、指数を支えた。一方、米連邦準備理事会(FRB)の金融引締めが長期化することへの警戒は根強く、指数は下げて推移する場面もあった。
  ・NYダウは前週末までの4日間で▲660ドル下落していたため、値ごろ感から買いを誘い、相場を支えた。相場の動向にはっきりした方向が出にくかったが、指数の構成銘柄でアナリストが投資判断を引上げた化学のダウの上昇が目立った。機械のハネウェルや航空機のボーイングといった景気敏感株の一部にも買いが入った。
  ・半面、NYダウは下げる場面が目立った。FRBがより高い政策金利を長期にわたって維持するとの見方から、9/25の米債券市場で長期金利が一時4.5%台半ばと、2007年10月以来の高水準を付けた。金利と比較した米国株の相対的な割高感が意識された。
  ・個別株では、ドラッグストアのウォルグリーンズや医療保険のユナイテッドヘルス、スマートフォンのアップルも上昇した。人工知能(AI)開発の新興企業と資本・業務提携すると発表されたネット通販のアマゾンが上昇、半導体のエヌビディアも買われた。一方、工業製品・事務用品のスリーエムやクレジットカードのビザ、飲料のコカコーラが下落した。

【前回は】相場展望9月25日号 米国株: インフレ再加速で、高金利が数年となる可能性 日本株: 日本株は底堅いが、外国人の先物売りに注意

 2)9/26、NYダウ▲388ドル安、33,618ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことが重荷となった。政府機関が一部閉鎖になるリスクも投資家心理の悪化につながり、NYダウは▲430ドル強安となる場面があった。
  ・1日の下げ幅としては、3/22の▲530ドル以来の大きさとなった。金融引締めが長期化するとの観測が広がっており、9/26の米債券市場では長期金利が一時4.56%と2007年10月以来の高水準を付けた。金利の上昇で、相対的な割高感が強まった株式に売りが出やすかった。ドルが主要通貨に対して上昇し、米企業の海外事業の収益が目減りするとの見方も、株式相場の重荷となった。
  ・今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は9/26に同連銀サイトに公開した論文で、+0.25%の利上げをした後も米経済がソフトランディング(軟着陸)できる確率が60%との見方を示した。インフレが想定以上に根強いケースについても触れており、総じて金融引締めに積極的な内容と受け止められた。
  ・米議会の予算協議が難航しており、新しい会計年度が始まる10/1までに新年度の予算案が成立しなければ、政府機関の一部が閉鎖される可能性がある。9/25には格付け会社が政府機関の閉鎖を、格付けにネガティブとの見方を示しており、市場では「米国債の格下げリスクが意識され、投資家心理の悪化につながった」との見方があった。
  ・9/26午前発表の9月の米消費者信頼感指数は前月の改定値から5.7ポイント低下の103.0と、ダウジョーンズ通信が集計した市場予想105.5を下回った。8月の新築住宅販売件数も市場予想に届かなかった。高金利のもとで米景気が悪化しているとの見方も株売りにつながった。
  ・個別銘柄では、金利上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株が売られやすくスマートフォンのアップルとソフトウェアのマイクロソフトが下げた。建機のキャタピラーや航空機のボーイングといった景気敏感株にも売りが出た。ネット通販のアマゾンが▲4%安。米連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)に違反した疑いで提訴し、売りに押された。ネット検索のアルファベットと電気自動車のテスラも下げた。

 3)9/27、NYダウ▲68ドル安、33,550ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が一段と上昇し、株式相場の重荷となった。下げ幅は一時▲300ドルを超えた。金利の上昇が一服すると、株式への売りも一巡し、NYダウは下げ幅を縮めた。
  ・米連邦準備理事会(FRB)による金融引締めが長期化するとの観測が根強い。朝方発表の8月の米耐久財受注額は前月比で減少を見込んでいた市場予想に反して増加し、米経済が底堅いとの見方を誘った。
  ・原油高がインフレ再燃につながるとの懸念もある。9/27の米原油先物相場は、米国内の需要引締り観測を背景に1バレル94.17ドルと昨年8月末ごろ以来の高値を付ける場面があった。
  ・原油高や米金融引締めの長期化観測を受けて、米債券市場で長期金利が上昇。一時は前日比+0.11%高い4.64%と、2007年10月以来の高水準を付けた。相対的な割高感が強まった株式の売りにつながった。市場では「夏の相場を牽引していたハイテク株の持ち高調整の売りが続いている面もある」との受け止めもあった。
  ・金利上昇でドルが主要通貨に対して上昇している。ドル高で米企業の海外事業の収益が目減りするとの観測も、株売りを誘った。
  ・米議会の予算協議が難航し、新しい会計年度が始まる10/1までに予算案が成立しないリスクがくすぶっていることが、投資家心理に影響したとの見方もある。半面、「現時点では株式市場とあまり関係がない」との声も聞かれた。
  ・引けにかけては米長期金利の上昇が一服。金利の上昇を嫌気して売られていたハイテク株を中心に買い直す動きが広がった。
  ・朝方は買いが先行していた。9/27朝の米債券市場で長期金利が前日終値をやや下回る水準で推移しており、株式の相対的な割高感が薄れたと見た買いが入っていた。
  ・個別株では、医薬品・医療機器のJ&Jや金融のゴールドマンサックス、スマホのアップルが下落した。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のディズニーも安かった。アナリストから目標株価引下げを受けた電気自動車のテスラは売られた。一方、原油など資源高を背景に石油のシェブロンや建機のキャタピラーが上昇。ソフトウェアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースも買われた。画像処理半導体のエヌビディアやネット検索のアルファベットなどが高かった。