●1.日経平均の推移

 1)9/25、日経平均+276円高、32,678円(日経新聞より抜粋
  ・朝方は、日銀の緩和継続姿勢を背景に買いが先行した。日銀の植田総裁は前週末、金融政策決定会合後の記者会見で、政策修正の時期について「到底決め打ちは出来ない」と述べ、緩和政策が当面続くとの見方が強まった。
  ・その後、前週末の米国株安が重しとなり、日経平均は下げに転じる場面もあったが、下値は堅く、まもなくプラス圏に盛り返した。前週に▲1,100円超下落していたことで、リバウンド狙いの買いが入りやすかった。時間外取引での米株価指数先物高も支えとなり、上げ幅を拡大し、後場終盤には32,722円(前週末比+319円高)まで上伸した。
  ・一巡後は一服症状ながら、大引けにかけて高値圏で推移した。
  ・個別株では、日経平均の寄与度が高い、東エレク・ソフトバンクG・アドバンスが上昇した。アステラス・エーザイ・住友ファーマなど医薬品株が堅調。7&i・三越伊勢丹・高島屋などの小売株や、キッコーマン・キリン・日清食・などの食料品株も高い。コナミ・トレンド・ネクソンなど情報通信株や、ソニー・TDK・オムロンなどの電機株も買われた。任天堂・バンナム・アシックスなどのその他製品株や、伊藤忠・三井物産・豊田通商などの卸売株も高い。

 2)9/26、日経平均▲363円安、32,315円(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)の金融引締め長期化観測を背景に米長期金利が上昇し、高PER(株価収益率)銘柄が多いグロース(成長)株の重荷となった。値がさの半導体関連銘柄が売られ、日経平均を押し下げた。
  ・月末に向けて国内年金などからリバランス(資産配分の再調整)を目的とした売りが出やすくなっているとの見方もあった。日経平均は大引けにかけて下げ幅を拡大し、今日の最安値で終えた。
  ・半面、国内外の長期金利上昇が追い風となる銀行や保険の一角には買いが入り相場の下値を支える場面もあった。午後は海運株の上昇も目立った。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合を経た後も海外勢の割安株買いは継続しているという見方が市場では出ていた。
  ・個別株では、東エレク・ファストリ・アドテスト・TDKが下落した。一方、ニデック・日本取引所・川崎汽船・商船三井が上昇した。

 3)9/27、日経平均+56円高、32,371円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株安を背景に朝方は幅広い銘柄に売りが先行し、下げ幅は▲300円を超え、心理的節目の32,000円を下回る場面があった。売り一巡後は押し目買いが入り下げ渋った。取引終了にかけて機関投資家による大規模な株価指数先物への買い観測を背景に、日経平均は上昇に転じ、この日の高値で終えた。
  ・9/27は9月末配当の権利付き売買の取引最終日で配当取りの買いが集まった。また、機関投資家が近く受け取る配当分を先んじて投資する「配当再投資」による先物への買いが見込まれていた。日経平均や東証株価指数(TOPIX)に連動した運用をする上場投資信託(ETF)や国内年金を中心に配当再投資による買いが入ったとの見方に加え、こうした買いが入ることを見越して先回りで短期筋が買いを入れる動きが活発化したもようだ。
  ・日銀が定例の国債買い入れオペを通知したことなどをきっかけに、国内の債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが低下した。金利への感応度が高い高PER(株価収益率)の一角が上昇に転じて相場の下値を支えた側面もあった。
  ・日経平均は午前中に大きく下げる場面もあった。米金利の先高観などを背景に、9/26の米株式市場でハイテク株比率の高いナスダック総合指数が4カ月ぶりの安値で終えた。投資家心理の悪化に伴う売りが午前中は優勢だった。
  ・個別株では、アドテスト・東エレクが上昇し、第一三共・エーザイも高い。一方、ニデックが売られ、郵船・商船三井・ファストリが売られた。

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●2.日本株:9/27の反発は「一時的」、「10月相場は荒れ展開」に注意

 1)昨日9/27の反発は「一時的」
  ・反発した要因。
  ・9/27は9月末配当取りの権利最終日で、買いが入った。
  ・配当を原資にした再投資があった。
  ・買いの主力は年金基金を含む国内勢であったと見る。
   ただし、海外投資家は先物取引で売り姿勢を強めた。
  ・9/28以降の展開は「下落」予想し、9/27の反発は一時的。
  ・9/28以降は買いの理由よりも、売り優勢を予想。
  ・ただし、9/末までは、9月末終値の株価を意識した買いはある。

 2)10月相場は「荒れ相場」を予想
  ・8月までは強い買いエネルギーで日経平均は上昇したが、勢いに限界がある。
  ・海外投資家の年初来の買い残高が9兆円に迫り、その後伸び悩んでいる。海外投資家の日本株投入資金の動向を見ると、限界に達したと思われる。
  ・9/27の国内勢の買い意欲は一時的要因であり、継続しないと見た。
  ・短期筋の海外投資家による株価先物市場での売りが継続。
  ・9/27取引終了にかけて国内勢の買いで日本株は急伸したものの、先物市場では海外投資家の売り手口が9/27に▲15,090枚と急増していた。
  ・先週以降、海外投資家の先物売りが継続していたため、買い転換のリズムであったが、昨日は先週以降で最大の売りを記録した。
  ・証券会社自己部門の買い残高が急増し、反動に注意。
  ・本来なら証券自己部門は多額の買い残を長期保有できないはずである。しかし、年初来9月第2週(~9/15)に+4兆3,903億円の買い残高と膨張。
    1月1週 ▲3,071億円 ⇒ 9月2週 +4兆3,903億円
  ・証券自己部門も買い残高の高さを意識し、減少に転化する可能性がある。

 3)米国NYダウと比較して日経平均は買われ過ぎの状態にある
  ・現状は、金利長期上昇とインフレ再加速懸念でNYダウは下落途上にある。
  ・日本株は円安の進行という追い風を背景に、NYダウに比べ下落率が低く、堅調な動きと言える。

 4)日本市場の取引の6割強を占める海外証券会社の動向に注意したい
  ・海外投資家は米国などの相場で生じた損失を、日本株の売却益で補うという性格を持っている。
  ・米インフレ再加速と米長期金利上昇を要因とした米国株の下落で、損失を膨らませていると思われる。
  ・海外投資家の年初来買い残高が9兆円に迫り、買い残高が伸び悩んでいる現在、本国から損失補填のため日本株の売却益積み上げの指示がきたとしても普通でであろう。

 5)日本株の10月相場は「荒れ相場」の展開が予想される
  ・NYダウに比べ、日経平均は下落傾向にあるとはいえ下落率は低く堅調である。
  ・海外投資家の年初来の買い残高が上限に達していると思われ、いつ売りに転換してもおかしくない。
  ・まして、米国株式相場は、金利長期上昇で割高感でハイテク株が値を崩している。米国株で生じた損失補填として、日本株売却による売却益計上の指示が来てもおかしくない状況に突入するリスクがある。
  ・日本株上昇に海外投資家とともに買い上がった証券自己部門だが、買い残高を膨張させたものの、いつまでも維持できない。外国人の売り転換に追随して売ってくるだろう。その売りのスピードは速いと予想する。
  ・日本株はいつまでも米国株に対して「堅調」であるわけではない。「10月相場は荒れる展開」となるリスクに注意したい。

●3.三菱自動車、中国生産撤退へ合弁先と詰めの協議、ガソリン車低迷(時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3141 ウェルシア  業績堅調。
 ・4004 レゾナック  業績回復期待。
 ・8267 イオン    業績堅調。