“静かな退職”を防ぐ「ワークライフインテグレーション」とは? 調査結果から見える「仕事」と「私生活」の充実の重要性

仕事と私生活が充実している人は、働く場所や時間を柔軟にできる制度がある傾向に

さらに、勤務先で「導入されている従業員向けの制度」を複数回答で聞くと、「仕事」と「私生活」両方の充実を“追求できている”と感じる人と“追求できていない”と感じる人で、もっとも導入割合に差があった制度は「在宅ワーク・リモートワーク制度」(差分:9.4ポイント)だった。以下、「有給取得率向上施策」と「女性向けの産育休制度」(差分:ともに9.1ポイント)が同じ差分で続いた。

「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できていると感じる人は、在宅ワーク・リモートワーク制度や有給取得、産育休制度が利用できる職場に勤めている傾向にあり、働く場所や時間の柔軟性に影響がある制度において、導入率の差が大きいと明らかになった。

従来よく取り上げられてきた「ワークライフバランス(WLB)」では、仕事(ワーク)と私生活(ライフ)のバランスを考え、どちらかに偏重が起きないように調整をする必要があった。一方、「ワークライフインテグレーション(WLI)」は、仕事と私生活の相乗効果を追及する考え方で、ワークライフバランス重視の働き方により増加した「静かな退職」を防ぐほか、「仕事の充実」にもつながるなど、企業経営にもメリットがあると考えられている。今後企業は、さまざまな従業員向け施策を検討するなかで、「ワークライフバランス」から「ワークライフインテグレーション」の考え方へとシフトすることが求められそうだ。