新入社員の基本的なビジネスマナー

まずは、4月から新社会人として働く人へ向けて、新入社員の基本的なマナーについて解説していきます。

身だしなみのマナー

社会人になると、一個人としてだけでなく、その企業に属する社員としての行動が求められます。社外の人からすると、社員はその企業の顔です。そこで大切になってくるのが「身だしなみ」です。

身だしなみの中でも特に大事なのは「清潔感」です。相手に不快感を与えないように外見や服装を心がけることが必要になります。

しわや汚れのないスーツはもちろん、アイロンをかけたシャツ、磨いた靴やビジネスバッグなどの必需品に加えて、時計や名刺入れなども派手なデザインは避け、ビジネスに相応しいシンプルで質の良いものを選ぶといいでしょう。女性であればメイクやネイルなども派手にせず、落ち着いた雰囲気の化粧を心がけましょう。

話し方や言葉遣いのマナー

ビジネスの場面では、敬語を使うことはもちろんですが、カジュアルな印象を与える表現も避けるべきです。避けるべき言葉とその改まった言葉を挙げてみました。

・ちょっと⇒少々

・さっき⇒先程

・もうすぐ⇒まもなく

・あとで⇒後ほど

・すごい⇒非常に

・いま⇒ただいま

また、ビジネスシーンでは否定的な表現は避けることがベストです。

・席におりません⇒席を外しております

・分かりません⇒分かりかねます

・できません⇒いたしかねます

・しないでください⇒ご遠慮頂けますでしょうか

直接的な表現を避け、丁寧で柔らかい印象を与える「クッション言葉」というものがあります。それらをいくつか紹介していきます。

・お手数おかけしますが

・ご迷惑をおかけしますが

・差し支えなければ

・失礼ですが

・大変申し訳ございませんが

・生憎(あいにく)ですが

これまで紹介した通り、ビジネスシーンにはその場に適した言葉が使用されるので、話し方や言葉遣いのマナーには注意が必要です。

挨拶のマナー

職場や取引先では、挨拶をする際は好感の持たれる挨拶を心がけましょう。自分から挨拶をすることはもちろん、明るい表情・声で挨拶をする、目を合わせながら挨拶をするなどが好感を持たれる挨拶になります。目を合わせず、小さい声で挨拶をしたりすると相手も気分がよくありません。そのためはっきりとした声で挨拶することを心がけましょう。

また、ビジネスシーンでは一般的に使用される挨拶の言葉があるので、紹介します。

・出社時「おはようございます」

・退社時「お先に失礼致します」

・外出時「行ってまいります」

・戻った時「ただいま戻りました」

・外出する人へ「行ってらっしゃい」

・外出した人が帰ってきた時「おかえりなさい」

・退社する人へ「お疲れ様でした」

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注意が必要!敬語のマナー

敬語は相手への敬意を表すために使用します。ビジネスにおいて用いる敬語は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3つになります。ビジネスマナーで最も注意が必要な「敬語」について紹介していきます。

良く使用される敬語一覧表

敬語は慣れていないと使い方が難しく、尊敬語・謙譲語が混ざってしまうこともあります。

ビジネスにおいて良く使用される敬語(尊敬語・謙譲語)を一覧にしました。ぜひ参考にしてみてください。

尊敬語 謙譲語
する される・なさる いたす・させていただく
言う おっしゃる 申す・申し上げる
行く いらっしゃる・おいでになる 伺う・参る
来る いらっしゃる・お越しになる 参る・伺う
いる いらっしゃる・おいでになる おる
聞く お聞きになる 拝聴する・うかがう
見る ご覧になる 拝見する
分かる ご理解頂く・お分かりになる 承知する・かしこまる
読む お読みになる 拝読する
伝える お伝えになる 申し伝える
会う お会いになる・会われる お目にかかる
食べる 召し上がる いただく・頂戴する
知る お知りになる・ご存じだ 存じる・存じ上げる・承知する
待つ お待ちになる・お待ちくださる お待ちする

上記の表で紹介したのは、相手の動作に対しての敬語ですが、その他にも敬意を表す表現があるのでいくつか紹介していきます。

尊敬語(相手側を表す) 謙譲語(自分側を表す)
会社 貴社 弊社
銀行 貴行 弊行
学校 貴校 弊校
お店 貴店 弊店
新聞 貴紙 弊紙

ビジネスシーンで間違えやすい敬語

敬語は自分では正しく使っているつもりでも実際は間違った使い方をしていることが多々あります。そこで、ビジネスシーンで間違えやすい敬語を4つ紹介していきます。

間違った敬語 正しい敬語
どちら様でしょうか お名前伺ってもよろしいですか
了解しました かしこまりました・承知しました
なるほど おっしゃる通りだと思います
○○様でございますね ○○様でいらっしゃいますね

二重敬語には注意を

敬語を意識しすぎると二重敬語になってしまう恐れがあります。二重敬語とは、相手の一つの単語や動作に対して「尊敬語+尊敬語」「謙譲語+謙譲語」のように同じ種類の敬語を二重に使用することをいい、知らずのうちに使ってしまうことがあるので注意が必要です。

例1:お帰りになられる

「お〜になる」+「帰られる」の二重敬語となっています。正しくは「お帰りになる」又は「帰られる」

例2:〇〇部長様

職場でその人の役職は地位を表すので、「〇〇部長」だけで敬語になります。社長や部長、課長などに様を付けると二重敬語になってしまいます

例3:関係者各位様

「各位」にはすでに「様」といった敬称が含まれているので「関係者各位様」だと二重敬語になってしまいます。この場合は「関係者各位」としましょう。

ただ、二重敬語が容認されている敬語もあるので、3つ程紹介します。

・お召し上がりになる

・お伺いする

・お見えになる

「お疲れ様」と「ご苦労様」の使い分け

「お疲れ様」と「ご苦労様」を同じ意味で理解している方もいると思いますが、異なる言葉なので注意が必要です。

ビジネスマナーにおいて、「お疲れ様」は上下関係なく、誰にでも使用することができますが「ご苦労様」は目上の人(上司など)が部下に対してねぎらう時に使用する言葉になるので、くれぐれも目上の人に対して「ご苦労様」と言わないように注意しましょう。

ビジネスシーンでよく使う敬語の実例

ここでは、ビジネスシーンでよく使用する敬語の事例をそれぞれのシーン別に紹介していきます。

挨拶をする際

・いつもお世話になっております。株式会社〇〇のAと申します。

⇒「お世話様です」はくだけた言い方になるので目上の人や取引先の方には使わないように注意しましょう。

・ご無沙汰しております。株式会社〇〇のAと申します。

⇒「お久しぶりです」や「しばらくぶりです」と言ってしまいたくなりますが、こちらもくだけた言い方となるので注意しましょう。

来客の際

・株式会社〇〇のB様がお見えになりました。

⇒「お越しになられました」は二重敬語になるので注意しましょう。

・あいにくCは本日休暇を取っております。

⇒「本日Cはお休みを頂いております」だと自分の会社を持ち上げてしまう言い方になってしまいます。

会議や打ち合わせの際

・資料を拝見致しました。

⇒「拝見させていただきました」だと過剰な言い方になってしまいます。

・〇〇の件についてお聞きになっていますか

⇒「〇〇の件についてうかがっていますか」だと謙譲語になってしまいます。

・ご不明な点はございませんでしょうか(又は「ご質問ありませんでしょうか」)

⇒「お分かりいただけましたでしょうか」だと見下していると感じてしまうことがあるので注意が必要です。