思いがけない展開に
そんな生活を過ごしていたあるとき、恵美は学生時代からの友人である仁美とお茶をしていた。
このときばかりはたまっていた和幸への愚痴を仁美にぶちまける。
仁美は5年前に離婚をしていて、現在は自由気ままに暮らしている。
そんな仁美がとてもうらやましく思えた。
「最近ね、ポミが出産をしたのよ」
「ポミ? 何それ?」
「あれ、私が飼っているポメラニアンよ。言ってなかったっけ?」
「いや、聞いてないと思うなぁ」
「そうだったかしら。まあそれでね、そのポミが子供をたくさん産んじゃって困ってるのよ。私1人だとあと1匹くらいなら飼えるけどね、誰か引き取ってくれるような人、知らない?」
仁美に聞かれて、恵美は考えた。
誰もそんな知り合いはいない。
そう言おうと思ったのだが、恵美の口から出てきたのは自分でも信じられない言葉だった。
「私がもらおうか?」
恵美がそう言うと、仁美はとても喜びすぐに引き渡しの段取りに入る。
その話を聞きながらも、恵美はどうしてそんなことを言ったのか戸惑っていた。
●犬を飼うことで、和幸との関係は変わっていくのだろうか? 後編にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。