雇用人数のカウント方法と雇用の対象となる障害者
障害者の雇用数については、必ずしも1労働者が1人とカウントされるわけではありません。具体的には以下のようにカウントされます。
1週間の労働時間が30時間以上の労働者(常用労働者)…1人
1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の労働者(短時間労働者)…0.5人
重度身体障害もしくは重度知的障害をもつ常用労働者…2人
重度身体障害もしくは重度知的障害をもつ短時間労働者…1人
法定雇用率を満たしていなかったという事態を避けるためにも、自社の労働者雇用数を正確に把握しておきましょう。
また、法定雇用率の対象となる障害者は以下の通りです。
身体障害者
身体障害者福祉法による「身体障害者手帳」を持っている方が対象です。程度によって1から7の等級が定められています。1級または2級の障害をもつ人もしくは、3級の障害を2つ以上重複してもつ人が重度身体障害者に相当します。
知的障害者
都道府県知事が発行する「療育手帳」を持っている方が対象です。「最重度」・「重度」・「中度」・「軽度」や「最重度」・「重度」・「軽度」など、等級分類は自治体によっても異なります。
精神障害者
精神障害者福祉法による「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方が対象です。程度によって1から3の等級が定められています。1級に近づくほど重い障害をもちますが、精神障害者は重度によって雇用人数のカウント方法が変化することはありません。
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障害者雇用における注意点
法定雇用率を満たすため、ただ闇雲に障害者を雇用すればよいかと問われると、決してそういうわけではありません。事前の準備や対策をしたうえで採用を進めなければ、トラブルが発生するリスクも高くなります。
障害者雇用における注意点を紹介するので、ぜひご参考にしてください。
障害者のプライバシーへの配慮
障害者の中には障害の内容について、あまり人に知られたくないと思っている方もいます。プライバシー保護の意識は非常に重要です。
たとえば、善意のつもりで「◯◯さんはこういった障害をもっているから、みんなで助けましょう」とアナウンスした結果、障害者の尊厳を傷つけてしまうといったことも考えられるでしょう。
当然のことではありますが、個人情報については本人の同意を得て、適切な取り扱いを心がける必要があります。
労働環境の整備
社内体制や規則を整えないまま障害者雇用を進めると、現場や配属先に混乱が生じてしまうケースもあります。また、障害者従業員を確保するために障害者だけを優遇するような待遇を規定してしまうと、その他の従業員のモチベーション低下につながる恐れがあります。
「社内全体で受け入れ体制が整っているのか」「障害者を含めて全社員を平等に評価できる仕組みになっているのか」など、社内環境を見直すことは、障害者雇用を促進するにあたって非常に重要です。