「処刑台」に向かう北朝鮮女性10人…中国での”暴動首謀者”を強制送還

韓国紙・東亜日報は26日、中国に派遣された北朝鮮労働者約2000人が先月、賃金未払いに抗議して工場を占拠し、大規模なデモを行ったと伝えられる中、北朝鮮当局が暴動を主導した10人前後を北朝鮮に送還したと報じた。暴動参加者を全員帰国させたくても、国連安保理の制裁決議を気にする中国が同数の新規受け入れに否定的なことから、外貨稼ぎを優先して少数の送還にとどめたのだという。

暴動の現場となったのは縫製工場で、派遣されているのは当局側管理者を除き全員が女性だ。読売新聞によると、20歳代の元女性兵士が多数含まれた労働者らは人質に取った管理職代表を暴行し、死亡させたという。

送還された10人が処刑されるのは、間違いないと見られる。

暴動が起こったのは今月11日ごろで、現地駐在の北朝鮮当局者が収集を図ったもようだ。賃金の不払いは4-7年にわたり、その総額は約1000万米ドル(約15億円)に上るという。そして、そのカネはすでに「戦争準備資金」として本国に送金されていたとのことだ。

管理者を死に至らしめるほどの暴力は、それ自体は肯定できないものの、彼女らの怒りがいかばかりだったかがうかがえる。

デイリーNKの現地情報筋によれば、北朝鮮の女性労働者が派遣された中国の現場は、環境が劣悪で、コロナ禍においてはほとんど外出ができない奴隷労働を強いられていた。中国では過去に、北朝鮮レストランの従業員らが集団で逃亡し、韓国に亡命する出来事があったが、工場労働者たちにはそうした機会は皆無だったと見られる。

病気になってもろくに治療を受けることもできず、苦しみのあまり自ら命を絶つ例も漏れ伝わっていた。

それに耐えたのは、故郷の家族に送金したい一心からだ。その唯一の希望を裏切られ、怒りを爆発させたのだろう。

東亜日報によれば、未払いは北朝鮮労働者が派遣された工場全体にわたっている。北朝鮮当局は現地駐在の貿易会社からカネをかき集め、一部を支払って労働者らをなだめようという。しかし未払い金額が数千万ドルにも及ぶことから、それも容易ではなく、当局は暴動の連鎖を懸念しているという。