騒音防止指針改訂 管理者の選任追加 厚労省

 厚生労働省はこのほど、騒音障害防止のためのガイドラインを改訂した。主なポイントは、騒音障害防止対策の管理者の選任や騒音レベルの新しい測定方法の追加、聴覚保護具の選定基準の明示、騒音健康診断の検査項目の見直しとなっている。新規労災認定者が多い建設業、製造業などにおける騒音対策を促進する狙いがある。

 改訂ガイドラインによると、事業場の取組体制の強化を図るため、事業者が作業場ごとに騒音障害防止対策の管理者を選任することを定めている。衛生管理者、安全衛生推進者などから選任し、ガイドラインの事項に取り組ませることとしている。

 騒音レベルの新しい測定方法の追加は、屋内作業場、坑内の作業場、屋外作業場において、総音源が移動する場合などに「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置・記録を行うことができるとするもの。

 等価騒音レベルが90dB以上の場合や、等価騒音レベルが85dB以上で手持動力工具を使用する場合などに使用する聴覚保護具の選定については、JIST8161-1に基づき測定された遮音値を目安とし、必要かつ十分な遮音値のものを選定するよう追加している。

 特殊健康診断(騒音)の検査項目では、定期健康診断のスクリーニング検査における4000Hzの音圧レベルを25dB・30dBに変更。雇入れ時または配置替え時や、定期健康診断のスクリーニング検査において異常がみられた者その他医師が必要と認める者に対して実施する検査に6000Hzの検査を追加した。

 近年、騒音性難聴による新規労災認定者数は、年間300人程度で推移している。平成28~30年度の新規労災認定者数のうち、労災保険給付実地調査復命書により業種や作業内容を確認できた621人を分析したところ、建設業が約52%、製造業が約26%を占めることが分かったという。

 建設業で最も多かったのは「トンネル工事」(約42%)で、製造業では「船舶製造・修理」(約47%)だった。作業場別でみると、手持ち動力工具などを取り扱う業務を行う作業場が多かった。