労災と偽って療養補償詐取 天満労基署・告訴

 大阪・天満労働基準監督署(下岡恵輔署長)は、業務・通勤と無関係の負傷を業務上と偽り、労働者災害補償保険の療養補償給付を詐取したとして、兵庫県在住の男性を刑法第246条第1項(詐欺)違反の疑いで天満警察署長に刑事告訴した。男性は一人親方で、労災保険の特別加入者。

 令和2年4月、男性は工事現場以外の場所で骨折し、医療機関で治療を受けた。3年4月、現場での負傷と偽った労災保険給付の請求書を大阪労働局に提出。同労働局は医療機関に対し治療費計169万1219円を労災保険から支払った。

 男性がさらに休業補償給付の申請を試みた際、証明を求められた医療機関が、事故状況の説明が以前と異なることに気付いた。通報を受けた同労基署が確認調査を実施し、違反が発覚した。

 同労基署によると、申請に当たり、事業主証明を行った組合と男性の間に共謀関係は認められなかった。共謀関係があれば、所属する団体・企業や工事の元請も責任を問われるとした。