お金に「きっちり夫」と「ざっくり妻」―正反対の夫婦が“価値観の違い”を克服できたワケ

<前編のあらすじ>

松山伸介さん(48歳・仮名)と妻の恭子さん(45歳・仮名)は40代の新婚夫婦。同じ大学を出た2人は趣味の登山で仲を深め、価値観が似ていることに運命を感じて結婚しました。しかし、いざ一緒に暮らしてみると、家計の管理を「きっちりやるか」「ざっくりやるか」の価値観が全く合いません。お金のことで衝突しがちになった夫婦は、ファイナンシャルプランナーの筆者のもとへ相談に訪れます。そこで、夫婦のホンネと適正を探り家計管理の着地点を見つけるために、「お金占い」のワークに取り組んでもらうことにしました。

お金占いで分かった夫のホンネ

親子・夫婦・兄弟など、身近な人であればなおさら、お金の話はしにくいもの。そこで弊社では、「持ち味マネーカード」(金融デザイン株式会社)を使って、お金の管理や投資に関する考え方を理解するワーク(お金占い)を行っています。

具体的には、質問の書かれた39枚のカードを「YES」「NO」「YES? NO?(どちらでもない)」に分けるという単純な作業を行うだけ。たったこれだけで、お金の基礎力や貯蓄・節約力、投資力を診断していきます。

カードを分ける時、頭に浮かんだ言葉を声にしてもらっているのですが、ぶつぶつ言いながらもほんの5分で分け終える人もいれば、じっくり考えながら20分以上かかる人もいて、その人の個性が短時間でとてもよく分かります。

伸介さんは、予想に反してじっくりタイプ。お金占いの結果からは、計画を立て実行することは得意だけれど、柔軟性や広い視野などお金の基礎力にやや欠けると分かりました。そこで、「お金の管理好きですか?」と質問すると、少し間をおいて、「実はあまり好きではない」との返答が。

「だから妻に任せたい。老後のことを考えると、できるだけムダ遣いをせずにお金を残せないかと。面倒な作業だとは分かっているけど、妻には細かいことを言ってしまっている」

ワーク前には聞けなかったホンネを語ってくれました。

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妻のホンネは「節約より投資」

一方、恭子さんはお金の基礎力と投資力があるタイプだと分かりました。分析力やリスク管理力、チャレンジ精神が持ち味です。お金占いの結果を見ると、家計管理は苦手ではないはず。結婚して日が浅く家計全体を把握できていないだけで、コツさえつかめば得意になりそうです。

ただ、面倒だと分かっているのに、家計管理を妻だけに任せるのは考えもの。いったん毎週のルーティンをやめ、夫婦でしっかりコミュニケーションをとって決めませんか? とアドバイスしました。

すると、恭子さんから「私、投資得意です!」と予期せぬ発言が。20歳のお祝いで、「これで投資を始めなさい」と祖父にもらった100万円が、20年で800万円まで増えている。細かな節約は苦手だけれど、情報を集めて投資をすることが楽しくて性格に合っているとホンネを語ってくれました。

そうであれば話は早い。定年までの約20年間、計画を立て実行に移せる伸介さんの持ち味と、貯蓄と投資の両輪でお金を増やせる恭子さんの持ち味を活かしていけば、無理な節約をしないで済みそうです。

しばらくして、おふたりから「ビーフシチュー食べてきました」と連絡がありました。どうやら伸介さんが独身時代と変わらない食費を設定していたらしく、これでは健康にも良くないと考え直したそうです。今後はレシートワークを取り入れながら、ご夫婦で家計管理を始める予定。出会えた奇跡を大切に、少しずつ暮らしにあった家計に修正していきましょう。

参考