●日本製鉄がUSスチールを買収

 日本製鉄は18日、米鉄鋼大手のUSスチールを買収すると発表した。ロイター通信によると、買収総額は2兆円(約141億ドル)と見られている。

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 実現すれば、日本製鉄の粗鋼生産量は現状から3割増となり、世界生産量ランキングでは、4位から3位に浮上する。目標としていた年間1億トンの生産へと近づく。

 一方で、米民主党議員がバイデン大統領に買収中止を要請しており、ホワイトハウスも国家安全保障に影響を与える可能性があると表明するなど、反発の声も大きい。

 この大手鉄鋼会社による日米連合は双方の企業だけでなく、国家にとってもどのような影響があるのだろうか?

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●日本製鉄とUSスチールの歴史

 1934年に官営八幡製鉄所から民間と合同してできたのが、日本製鉄の前身である「日本製鐵株式会社」である。戦後、財閥解体によって4分割され、そのうちの2社が1970年に合併してできたのが、新日鉄だった。

 2012年に住友金属と合併し、新日鉄住金が発足し、2019年に現在の日本製鉄へと社名を変更している。近年はインドやタイなどの鉄鋼会社を買収し、グローバル戦略に力を入れている。

 年間の粗鋼生産量は4437万トン(2022年)、国内首位で世界4位となる。

 USスチールは、JPモルガンらが株主だった連邦鉄鋼会社とアンドリュー・カーネギーが保有していた製鉄会社が合併して、1901年に設立。ペンシルバニア州ピッツバーグに本拠地を置く。

 1991年にUSXと改称したが、2016年には再びUSスチールへと改称している。現在世界第27位の粗鋼生産量を持つ。