日本植物油協会 忘年懇親会を開催、厳しい状況は継続、予断を許さない状況、総力挙げて命と健康増進を図る

日本植物油協会は12月20日、千代田区の経団連会館で令和5年12月度理事会・会員集会後に、立食ブッフェ形式で忘年懇親会を開催した。

冒頭、新妻一彦会長(昭和産業会長)は、同日発表となった2023年製油業界10大ニュース(次面表)を踏まえつつ、あいさつを行った。10大ニュースは昨年と同様に、20の候補から選ぶ形での投票となった。

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新妻会長は1位の「価格に見合った価値の浸透へ努力を継続」について、「歴史的な価格水準を記録した植物油の価格はひとまず沈静化しているが、過去に比べると依然高値で推移している。地政学、マクロ経済的要因から厳しい局面が継続しており、予断を許さない状況だ」と認識を述べた。

価格高騰に関するものでは、4位に「スペインは2年連続の不作でオリーブ油輸入価格高騰」が選ばれた。「個別の品目でオリーブ油が入り、価格高騰の象徴的な品目となったことが注目されている」とした。オリーブ油は10位にも、「協会として努力してきた『エキストラバージン油の表示に関する公正競争規約及び施行規則が認定・承認』が入った」と述べた。

2位の「業務用需要はコロナ前に戻らず」について、「新型コロナの5類移行で明るい動向も見えてきたが、為替は円安、原料相場も高値で推移しており、コロナ前には戻っていないことが協会としては残念だ」とした。

3位の「家庭用市場は付加価値品やプレミマム油で市場規模維持の見通し」が入った。「厳しい状況下でも付加価値の高い新製品開発のチャレンジや努力がこれまで以上に求められている」とした。

5位の「食品用と工業用間の競合高まり」に続いて、「こうした植物油を取り巻く厳しい環境への積極的な対応が評価されたのが、6位の『製油パートナーズジャパン設立』で、この面での関心の高さが伺われる」と述べた。

7位は「各社決算は値上げなどが寄与し回復傾向」で、「価格高騰は植物油に限ったことではない」というように、8位には「食品値上げ3万2,000品目超え」が入った。9位に「個別の品目として、こめ油が登場した」と振り返った。

続いて新妻会長は、「製油業界以外の話題では野球が盛り上がった。大谷翔平選手の10年契約で7億ドル、日本円換算で1,000億円を超えるビッグな契約には驚かされた。また先日、日本男子ゴルフ会のトッププロ4人とプレイする機会があったが、異次元の飛距離には圧倒された。日本のスポーツ選手が世界に伍して戦える時代が到来したが、強靭なカラダづくりには植物油が大きな役割を担ってきたと確信している。将来にわたり、われわれメーカーが切磋琢磨し合い、高度な製品開発力、技術力を生かして、スポーツ選手のみならず、世界最高の長寿国である日本の命と健康増進を図ることに、業界で総力を挙げて取り組んでいくことが重要だ」と述べた。

〈フードシステム全体に対する貢献果たしていく、油の価値を高めて世に提供〉

乾杯の発声は久野貴久副会長(日清オイリオグループ社長)が行った。「10大ニュースの中に気候変動が入っていたが、干ばつは物流にも影響しており、パナマ運河の通航制限、地政学という面では、スエズ運河航行回避の動きも顕在化している。2大テーマの気候変動と地政学は、需給変動のみならず、サプライチェーンも影響を受ける。2024年はそこに立ち向かっていく年になる。国内では物流2024年問題があるが、安定的に価値ある製品を届ける、価値ある製品を生み出していく、価値に見合った価格を形成していくということで、油脂業界のみならず、食品業界全体、そしてフードシステム全体に対する貢献を果たしていきたい」と力を込めた。


日本植物油協会・久野貴久副会長

佐藤達也副会長(J-オイルミルズ社長)は中締めあいさつで、「過去と比べると原料相場も為替も戻っておらず、厳しい状況は続いている。物流の2024年問題に代表されるように、コストアップ要因に対処していき、SDGsに代表される環境や社会的な責任に対する役割も果たしていかないといけない。課題は山積みだ。協会各社は油の価値を高めて、世に提供しながら社会や消費者に貢献していきたい」と述べた後、油締めが行われた。


日本植物油協会・佐藤達也副会長

〈大豆油糧日報2023年12月22日付〉