経理だけにとどまらない業務負担増、インボイス制度への不安や不満がぞくぞくと


導入に対して反対意見の多かったインボイス制度ですが、2023年10月1日から施行されています。事前に経理担当者の負担が増えることは予想されていたものの、いざ始まってみると職場全体に混乱が広がっているようです。

インボイス制度に対する不安

基幹業務システムを提供する株式会社オービックビジネスコンサルタントは、経理担当者を対象にインボイス制度の開始直後に意識調査を実施しました。調査の概要は以下のとおりです。

・調査内容:インボイス制度に関する調査
・調査対象:全国の企業経理担当者600名
・調査期間:2023年10月10日~11日
・調査方法:インターネット調査

この調査の主な質問の中で、「制度施行後、精神的ストレスが高まった」という回答は76.5%で、「最初に迎える月末業務に不安を感じる」という回答は、79.5%にものぼりました。

また、「政府による制度の説明を理解できた」という回答は約5割にとどまり、「政府の説明に対して不満がある」という回答は76.5%という高い数字でした。同様に2024年1月から義務化される電子帳簿保存法についても、75.8%は不安を感じると回答しています。

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職場で増大するさまざまな負担

制度開始後に経理担当者の業務で負担が増えたのは、主に以下に挙げる3つの点です。

・適格請求書発行事業者と免税事業者の管理
・発行する適格請求書要件のチェック
・取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック

取引先から請求書が届いた場合経理担当者は、事業者番号があるかないかで請求書を分ける必要があります。当然、税額計算や記帳処理も別々に行わなければなりません。ほかにもインボイス制度の適用に合致するかどうか、要件の確認作業も新たに上乗せされます。適用税率に関しては、ミスがないように細心の注意が必要です。

こういった経理部門の混乱は予想されていましたが、波紋はそれ以外の業務にまで広がっています。一般社員も、取引先が適格請求書発行事業者かどうか確認してから対応しなければなりません。小売店や飲食店またはタクシーなども、今までのように気軽に利用できません。インボイスに対応しているかどうかを、その都度確認する必要があるからです。

企業にとっては、これまで使っていた会計システムを更新したり、新たなソフトを導入したりするなど、追加のコストと手間が生じる恐れもあります。