流れるような美しいボディラインに、高性能なツインカムエンジンを搭載し、鮮烈なデビューを飾ったトヨタ2000GTは、日本自動車業界が世界に誇る、レガシーといっても過言ではないはずだ。

世界のカーオークションにて高値で取引されている唯一の日本車


ロングノーズ&ショートデッキのお手本のようなボディは、デザインだけでなく当時としては非常に空力にも優れていた

東京オリンピックから3年が経過した’67年5月、それまで本格的なグランドツーリングカーが存在していなかった日本において、世界に誇る名車が誕生する。流麗なボディラインをもつロングノーズのボディにツインカムの6気筒エンジンを搭載したトヨタ2000GTだ。

「世界に誇る名車」というのは決して日本人の驕りではない。日本車として初のボンドカーに抜擢されたり、世界のカーオークションにて高値で取引されている唯一の日本車であることから判断すると、もっとも世界に認められた日本車と明記することに異論のある人はいないだろう。


ヘッドライトはリトラクタブル式を採用。ボディ前端のグリル左右に配置されるのは、固定式のフォグランプとなる。これによってフロントノーズを低く抑えることができた

エンジンはクラウンなどに搭載される直列6気筒のM型をベースにヤマハが開発した3M型DOHC6気筒2000cc。それにソレックスキャブレターを3連で装着。アイシンが専用に開発した5速マニュアルトランスミッションを搭載。最高速度は220km/hに達し、当時のリッタークラスのスポーツカーとしては世界最高レベルの非常に高性能な車両となった。

楽器製造で木工技術を持っていたヤマハがエンジンの開発だけでなく、内装を手掛けることで、ウォールナットのダッシュパネルや美しいウッドステアリング、スイッチ類など欧州のスポーツカーに引けを取らない出来となった。


切り上がった下面と、絞るように収束するリア周りのデザインは当時の世界的なトレンドでもあった

取材車両はロッキーオートが所有するペガサスホワイトのボディを纏った前期モデルで、オリジナルディテールをしっかりと残している貴重な個体だ。写真のように、公道を当時と同じように走ることができる。


バンパーはグリルやフォグランプを挟んで左右分割式となる


ミラーはドライバーへの反射を防ぐため、内側のみブラックに塗装


ダッシュボードの長さからもフロントガラスがいかに傾斜しているかがわかる


ワイパーは左ハンドル車両同様に右側に留まる


ドアノブはプルタイプ。ノブのデザインも美しい


テールランプはラウンド四灯タイプ


給油口はボディ左後端に配置


ボディサイドのラインは今見ても美しい