ジーンズ愛好家がもっとも楽しみにしているのはデニムを穿き込んで育てること。育てる? どういうこと? なんて人もいるかもしれないけれど、デニムは穿き込むことで色落ちし、生地が変化し、穿き手それぞれのライフスタイルが刻まれるかのように経年変化していくのがおもしろさのひとつ。それが「育てる」ということなのだ。特にジャパンブランドのデニムは、ヴィンテージジーンズさながらの生地や仕様を踏襲しているモデルが多く、経年変化の美しさは群を抜く。そこで、1本のジーンズがどのように色落ちしていくかをレポートするのがこの記事なのです。9回目となる今回は、生地の経年変化による濃淡がはっきりとして雰囲気がさらに良くなってきたぞというお話。
まずは新品状態をおさらいしておこう。
レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。
通常のインディゴ染めの生地(14オンス)と、本藍染めデニム(バックヨークとベルトループに使用)の2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。
シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。
ちなみに前回までの記事は下記で確認されたし。
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ほぼ毎日着用することでタテ落ち感がはっきりとしてきた。
普段、スーツや仕事着を着ている人は毎日のようにジーンズを穿くことはできない。穿けても週末のみ。そうなるとワンウォッシュのジーンズを穿き込んで色落ちさせるなんて途方も無い時間が必要。
ということで、毎日ジーンズを穿くことができる筆者がその色落ちと経年変化をレポートしようと始まった本企画。
着用期間も半年を越え、このころになるとやっと下ろしたてのジーンズという雰囲気はなくなり、自分のライフスタイルに沿った色落ちが各所にはっきりと出てくるように。基本的に洗濯は控えめ。洗濯方法は家庭用の洗濯洗剤を使って、洗濯機で洗うというなんてことない方法で行ってどのように色落ちするかということにも注目していただきたい。
つまり、やたらと神経質になるのではなく、普通に穿き込んで、普通に洗濯したらという前提で色落ちをチェックしているのが本企画なのである。
で、約9カ月が経過したジーンズはというと。もともとシルエットがゆったりとしているので、バキバキにヒゲなどの色落ちは出てこないと思いきや、これがけっこうはっきりと出てきた。前回の記事のときにひさしぶりに洗濯したせいか、その後の穿き込みでブルーと白の濃淡がはっきりとわかるように。上の写真でも生地の濃淡がでてきたことがわかるくらい。
腿に出てきた生地のタテ落ちもよりはっきりと出てきて、そこにヒゲ落ちが加わることで、雰囲気はかなり「こなれた」ジーンズへと変貌してきた。基本的に洗濯をほとんどしないので、体型によって生まれるクセが生地に記憶されるので、各所のヒゲ落ちもはっきりと出てくれたのではないかと推測。
タテ落ち、ヒゲ、ダメージの3要素が出てくることで、穿き込んだジーンズというイメージが完成されていくんだと実感。もはや穿き始めた当初に感じた生地の張りやゴワゴワとした感覚はもはや皆無で、完全に自分の体型にフィットしてくれた感覚。各ディテールの変化を見て、それを感じていただきたい。