大手コンビニエンスストア(CVS)チェーンの2024年2月期決算は、各チェーンが売上高・利益とも大きく伸ばした。セブン-イレブン・ジャパンは既存店売上高を堅調に伸ばし、売上・利益ともに順調だった。ローソンの242月期決算は、売上増収、事業利益が対前期比46.3%の大幅増益となった。国内の売上高・利益の伸長は、人流回復や猛暑の後押しのみならず、各種キャンペーンやフェアの積極展開が既存店売上高を押し上げたことも幸いした。ファミリーマートについては事業利益が過去最高を更新した。現在、原材料や仕入れコストが上昇し、競合激化が予想されるなか、新年度においてはこれまで以上にどのようにして各社が既存店強化に努めていくのか動向に注視したい。(4月9日~15日までのニュースをまとめました)


※画像はイメージ

セブン-イレブン・ジャパン

営業収益・営業利益好調

 セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン-イレブン・ジャパンの20242月期決算は、チェーン全店売上高が5兆3452億円となり対前期比3.8%の増収、営業利益は同7.8%増の2510億円と好調だった。

 各地でのイベントなどの再開による人流回復や好天に恵まれた。また地域やメニューなどのテーマを設定し、さまざまな商品を取り揃えるフェアの積極展開や、アプリを活用した販促などの各種施策が奏功した。既存店売上が前年を上回り(既存店売上高は3%増)、営業増益につながった。

 なお海外CVS事業である7-Eleven,Inc.(連結)のチェーン全店売上高は10兆2004億円で同2.3%減。商品売上は伸長した一方で、ガソリン価格の下落と販売量の減少が影響した。商品粗利益の改善と円安の影響を受け、営業利益については営業利益は3962億円で4.1%の増益だった。

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ファミリーマート

東北地方でローソンと初の共同輸送

 411日から東北地方の一部地域において、アイスクリームや冷凍食品などを対象とした、ファミリーマートとローソンの物流拠点間の輸送を開始する。両社の商品を同じトラックに混載し、共同で輸送することで、車両台数とCO2の削減を目指していく。ファミリーマートとローソンが共同輸送を行うのは今回が初めてで、ファミリーマートの宮城県多賀城と秋田、ローソンの盛岡と秋田の物流拠点間を運行する。

2月期決算の事業利益は過去最高

 ファミリーマートの20242月期決算は、営業収益が5078億円(対前期比10.0%増)、事業利益がの837億円(同30.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は518億円(同50.9%増)となり、大幅な増益を達成した。

 2023年度通期は、コロナ5類移行後のインバウンドも含めた消費の著しい回復や、夏場の猛暑の後押しに加え、各種キャンペーンが奏功した。既存店の客数が前期比3.3%増、客単価が同2.0%増と前期を上回ったことから、既存店日商は同5.3%増となり、利益計画を達成した。また、デジタルサイネージの設置など、店舗のメディア化が進展し、顧客とデジタルの接点となるアプリ「ファミペイ」は、ダウンロード数が順調に増加。約2000万に伸長した。

 電気代や人件費などのコスト上昇は続いているものの、営業収益が463億円増え、事業利益については過去最高となった。当期利益は期初計画を上回った。