■I.米国株式市場
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●1.米国株:3月CPI⇒インフレ加速懸念⇒金利引下げ遠のく⇒金利上昇リスク増す
1)米3月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.5%と、予想+3.4%から悪化
・2月の+3.2%からも悪化した。上昇率は2ヵ月連続で前の月を上回り、インフレ再加速の懸念が強まった。
【前回は】相場展望4月8日号 米国株: NYダウなど主要株価指数が「弱気」、上昇支持線下回る 日本株: 買い主体の交替「海外投資家⇒証券自己」に、リスク注意
・変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比+3.8%と、予想+3.7%と鈍化予想に反して上回った。2月と同じだった。
・インフレ率は昨年夏の9%をピークに下落基調にあったが、最近は横ばいとなり下げ止まっていた。しかし、この2ヵ月の動向は再びインフレ率が再上昇する動きをみせている。
2)CPI上昇の主な要因
・ガソリン価格の上昇に伴う輸送費が+10.7%高。
・住居費が+5.7%高。
・エネルギー価格上昇による電気代が+5.0%高。
・外食が+4.2%高。
3)FRBによる利下げ期待が後退し、6月利下げ期待が遠のいた
・利下げ時期は秋以降へ後退すると見る。
・なお、市場参加者のなかに利下げの7月開始期待がある。
4)CPI上昇で⇒金利上昇⇒円安・ドル高へ
・米金利の推移 4/01 4/09 4/10 前日比
10年物金利 4.312% 4.362 4.547 +0.185%高
02年物金利 4.712 4.743 4.973 +0.230%高
・円・ドルの推移 150.02円 150.60 152.992(米国時間)
5)FRBは、インフレ鈍化の停滞による金利据え置きの長期化を懸念=FOMC議事要旨
6)FRBによる再利上げの可能性を排除できない
・原油価格はメキシコ、OPECプラスの減産で供給が細り、原油高が進行している。加えて、ロシアは石油製品の輸出規制実施と産油地帯の洪水の影響があり、原油価格はさらに引き締まって北海ブレンドが100ドルに達する可能性がある。
・米CPIの構成で主な要素となっている住居費も上昇する一方である。
・労働需給も再びひっ迫感を示しており、賃金上昇が予測される。
・以上の観点から、インフレの鈍化⇒インフレの再燃へとつながると予想する。
・インフレ率の反騰から、利上げを巡って議論が起こり得る状況となり、FRBは再利上げの可能性を排除できなくなるだろう。
7)FRBの金利引下げ期待観測で米株は急伸したが、米株価は来た道を戻るリスクあり
・4/10、米国株の上昇を牽引してきた半導体株指数(SOX)が下げを主導。
NYダウ ▲1.09%安
SP500 ▲0.95
ナスダック総合 ▲0.84
フィラデルフィア半導体株指数 ▲1.65 (SOX)
・SOX指数の下落が主導して、米株式相場の反落を誘うリスクがあることに注意したい。
・金利上昇は、値がさハイテク株にとって割高感が意識されて売られる要因となるため、株式相場は警戒したいところである。