【頭のいい人は知っている】相手を夢中にさせる「話し方」の裏ワザ2選

希少性を高めるとっておきの裏技2つ

その1:聞き手に「競争」を意識させる

 最後に、希少性を高めるとっておきの裏技を2つご紹介しましょう。アメリカの社会心理学の権威であるロバート・B・チャルディーニの著書『影響力の武器』(誠信書房)を参考にして、私がフレーム化したものです。

[裏技1]聞き手に競争を意識させる

[裏技2]これまでの自由に制限をかける

 裏技1は、「聞き手に競争を意識させると、希少性を感じる度合いが高まる」という原理を利用しています。競争相手のせいで、この話が聞けなくなることを匂わせます。

 私はビンテージの古着が大好きで、時間があれば原宿や高円寺の古着屋に足を運んでいます。中でも行きつけの古着屋の店長さんが、こんな風にいうのです。

「そのリーバイスのXX(ダブルエックス)、昨日いらしたお客さんも気に入ってましたよ」

 こういわれると、「ちょっと無理してでも、このデニムを買いたい!」――そんな衝動に駆られてしまうものです。

 ビジネスシーンでも同様です。競争相手のせいで自分が話を聞く機会を失ってしまうシチュエーションを示されると、人は「その話、何がなんでも聞きたい!」と思うようになります。

 たとえば、セミナーや講演会などでの「定員」や「人数制限」は同様の効果を発揮します。

「来月開催のセミナー、残席がわずか1席のみとなりました。そこでしか話すことのできない、とっておきのネタをご用意しています。参加される方は、ぜひ楽しみにしていてください」

 このように伝えると、聞き手は、「競争相手のせいで残席が埋まり、その話を聞けなくなってしまうかもしれない」と思うのです。その結果、「その(聞けなくなる)事態は何がなんでも避けたい」という心理になり、その話をより「希少」で聞きたいものだと感じてくれます。

 当たり前のことですが、競合が存在することも残席が少ないことも、それが「希少だ」という情報は言葉にしないことには聞き手に伝わりません。「希少性」を感じ取ってもらうだけで聞き手を引きつけることができるならば、積極的に発信しておくに越したことはないのです。

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裏技2 :

これまでの自由に制限をかける

 続いて2つ目の裏技は「これまでの自由に制限をかける」です。この裏技は、「それまで制限されていなかったけれど、これから制限されるものに人はより希少性を感じる」という原理を利用しています。つまり、「これまではいつでも聞くことができた話だけれど、これからは聞けなくなる可能性がある」ことを示すことで、より一層、希少性を高める手法です。

 ここでは、「これまでも限定で、これからもその限定が続く」ということよりも、「これまでは限定ではなかったけれど、これからは限定になってしまう」ことのほうが人は希少性を感じることを利用しています。

 伝え方としては、たとえば、次のようなフレーズがあります。

◆即効フレーズ

・「これまでは一般公開してきた話なのですが、今後は一般公開をやめて、一部の人にしかお話ししないつもりです」

 このように一言添えるだけで、聞き手に「近い将来、聞けなくなってしまうのなら、今のうちに!」と思わせることができます。ただし、ここにウソがあると信用をなくしてしまいます。

 ですから、希少性をアピールする際は、誠実さを絶対に忘れないようにしてください。希少性をうまく演出することで、聞き手の期待感を高め、ワクワク感を作り出してみてください。