LIXILの“女性活躍”に対する決意、「誰もが願う住まいは多様性を持った組織から生まれる」

多様性のあるチームが生んだ新商品、5年目女性従業員による新たな開発プロセスへのチャレンジ

D&Iや女性活躍の推進が、同社の事業・サービスにつながった事例も出ている。そのひとつが「どこでも手洗」という商品で、従来に比べて住まいのさまざまな場所に設置できる洗面化粧台だという。




「属性や組織の壁を越えた多様なメンバーが企画した商品で、実際に子育てをしている人や生活者としての従業員の声をもとに作ったものです。家族がいる家庭にとって、帰ってきて最初に手洗いをしたい、もしくは子どもにしてほしいというニーズがあるものの、これまでの商品は、仕様の問題などで玄関の近くに設置できないことが多かったのです。それを改善した商品といえます」

もうひとつ、猫を飼う住宅用に開発されたキャットウォーク「猫壁ーにゃんぺき」は、女性従業員が開発した商品だ。入社5年目の若手がアイデアを出し、クラウドファンディングで資金を募って限定販売した。そのプロジェクトが終わった後も商品化の希望が相次ぎ、一般販売に至ったという。

「この商品は、LIXILの通常の開発とはまったく違うプロセスで生まれたことに意味があると思います。誰もが活躍できる環境を作っていくと、若い従業員が積極的にアイデアを出したり、クラウドファンディングのような新しい販売方法を使ったり、いままでにない展開が生まれやすくなるのではないでしょうか」




こういった事例はあるものの、数値面での成果が出るのはこれからであり、いまはまだ「種まきが終わった段階」だと和田氏。「設定した目標の実現に向けて、多くの方を巻き込みながら進めたいと考えています」と話す。

D&Iや女性活躍を進めよう――。そう言うのは簡単だが、大切なのは本気で実行し、継続することだ。だからこそ数値目標を置き、進み具合を確かめていく意味がある。記事で触れた事例を見ても、この活動がLIXILの実業やサービスにつながることは間違いない。さまざまな人たちの快適な住まいを実現するために、今後も同社はD&Iや女性活躍に力を入れていく。

(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2023年10月現在の情報です