全企業で就業規則整備を/社会保険労務士さいとう事務所 代表 齋藤 幸江

 コロナ禍の2020年に社労士試験に合格し、翌年に開業して3年になる。元々は金融系のシステムエンジニアだったが、出産を機に退職。その後3人の子育てをしながら在宅で秘書やウェブ制作の仕事をしていた。しかし育児ストレスや働き方などに行き詰まりを感じていた。そんな折、北海道で開業社労士をしている父から社労士試験を受けてはどうかと言われて勉強を始めた。試験には運良く3回目で合格し、事務指定講習を受けて開業した。

 当初は得意のITを生かして労務サポートがしたいと意気込んだが、実際の需要は違っていて、最初に受任したのは就業規則の作成依頼だった。

 作成するなかで労働基準法や労働契約法の説明をすると大変感謝された。会社がやるべきことと、やってはいけないことが分かって良かったと。就業規則は助成金申請のための依頼も多いが、ルールをしっかり整備したいと考える経営者も同じくらい多い。労働者の権利意識が高まるなか、会社がしっかりと準備することはとても重要だと思う。

 労使紛争が起きた時に、就業規則がないとまともな訴訟すらできない可能性がある、と研修で弁護士の先生が仰っていた。すべての会社に就業規則を整えていくことが、社労士の使命の1つではないかと思った。

 先日も就業規則のご依頼で、女性が働きやすい環境を作りたいという女性経営者とお話した。短時間でも成果を出す従業員は評価したいとのことだった。子育て中はとにかく時間の確保が大変なので、時間に融通が利く職場はありがたい。また会社としても優秀な人材を確保できる。理想だけでは難しい面もあるが、多様な働き方は今後もっと広がってほしいと思う。

 そして就業規則を作成する際に気を付けているのは業種ごとに必要な項目を盛り込むこと。これは想像力を働かせて必死に絞り出す。想像力こそがプロの腕の見せ所だと、先輩社労士に教わった。プロは違うよね、と言われる就業規則をめざして日々精進したい。

 また社労士業務と合わせて、ホームページ制作や修正業務も行っている。ホームページを作ったは良いが修正の仕方が分からないという相談が多い。喜んでいただけるので、今後も細々とやっていきたい。

 こうした試行錯誤の日々を開業当初からブログに綴っている。同じ資格をめざす方や子育て中の方から相談をいただくこともあり、それが自分の力にもなっている。前向きな人とつながると自分も前向きになれる。こうした出会いは社労士という共通項があるからこその素晴らしいご縁だ。愚痴ばかり言う性格が少し変わってきた気がする。

社会保険労務士さいとう事務所 代表 齋藤 幸江【神奈川】