【後編】MAXISシリーズを展開する三菱UFJアセットマネジメントが考える「アクティブETF」の可能性

2023年9月7日に上場されたアクティブETF(上場投資信託)のひとつ「MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信(2085)」。配当利回りの高い日本株を組み入れたETFで、早くも注目度が高まっている。

前回は、この「MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信」を運用している三菱UFJアセットマネジメントのETF事業グループ シニアマネジャー・豊留健良さんに、商品の特徴や反響を伺った。

後編となる今回は、日本のETF市場の現状とこれから、そして個人投資家がETFを活用するコツを聞いた。

ETFのラインナップの拡大が市場活性化のカギ

――日本初のETFが上場されてから30年弱が経ちますが、現在の日本のETF市場をどのように捉えていますか?

「日本のETFの9割以上が機関投資家の利用で、個人投資家の利用はわずかです。なぜそうなっているか考えてみると、ETFについてわからないことが多いために、個人投資家は『株式でいい』『投資信託でいい』となってしまっているのではないかと推測できます。

逆に、なぜ機関投資家はETFを活用しているかというと、株式のようにリアルタイムで市場での売買ができ、売却代金も早く受け取れる一方、投資信託のように複数の株式などが組み入れられているため、分散投資の効果が期待できるというメリットに気付いているからだといえます。個人投資家の方々にもこのメリットに気付いてもらえると、活用が進むのではないかと思います」

――ETFは、株式と投資信託という2つのメリットを兼ね備えていますからね。このメリットは、どうしたら個人投資家に届くでしょうか?

「ここ3年くらいで東証に上場されているETFのラインナップが増え、流動性も高まってきていると感じます。個人投資家がETFを活用しやすい環境がようやく整ってきたので、まずは売買しやすい環境があることを知ってもらうことが第一だと考えています」

――「新しい商品だと、売りたいときに売れないのではないか」という不安もありますが、そこが解消されつつあるということですね。

「そうなってきていると思います。また、アクティブETFが解禁されたことで、投資家が使いたいと思うような商品を提供しやすくなったので、私たちのような運用会社がさまざまなETFを開発していくことで個人投資家の注目が集まり、ETFを通じた投資も増えていくのではないかと思います。

アメリカをはじめとする海外では、既にさまざまなアクティブETFが上場されていて、日本の投資家のなかにはネット証券を通じて購入している人もいます。日本でもアクティブETFのラインナップを広げていくことで、そのニーズを拾うこともできるでしょう」

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ETFは「資産と市場を連動させるツール」

――資産形成にETFを取り入れてもらうには、株式や投資信託とは異なる活用法を伝えることも大切だと考えられそうですが、ETFならではの活用などはありますか?

「よく個人投資家の方におすすめしているのは、“べータを取る”手法です。投資のプロが用いる方法なのですが、株式や投資信託を売却して利益を確定した際に、売却して得た現金が手元に残りますよね。この現金でETFを購入するという手法を、“べータを取る”といいます」

――現金をそのまま置いておくのではなく、ETFに投資するのはなぜでしょう?

「例えば、株や投資信託を持っていたとして、それを売却し現金化した瞬間、その現金は市場と連動しなくなります。そのタイミングでTOPIXが上がったとしても、現金の価格は変わりません。もし、投資信託を売却したお金でTOPIXに連動するETFを購入していたら、資産価値は上がっていたかもしれないですよね。資産と市場を連動させるツールとしてETFを活用する、という方法もあるのではないかと思います」

――ETFはリアルタイムの価格でスピーディーに売買できるので、次の投資先を考える間に市場を追うツールとしては、ぴったりといえそうですね。

「そうですよね。ETFは、ポートフォリオのバランスを取るツールとしても捉えられます。『MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信』は大型のバリュー株が組み入れられているので、株式投資をしていて資産が小型株やグロース株寄りになりがちな投資家の方に持っていただくと、ポートフォリオ全体のバランスが取れて、リスクを抑えられると思います。

ETFだけで投資するというよりも、現在の投資スタイルに合わせてETFを取り入れていくようなイメージで、考えてみてほしいですね」