一般的に、フリーランスは住宅ローンの利用が困難だと言われています。

実際、フリーランスが住宅ローン審査に落ちやすいのは確かです。その理由と審査通過のコツを把握しておかなければ、制度の利用は難しくなるでしょう。

本記事では、会社員と比べてフリーランスが住宅ローンの利用が困難だと言われる理由を説明し、審査を通過する方法や注意点を見ていきます。

金融機関の選び方も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスが住宅ローンの審査に落ちやすい理由

会社員と比べて、フリーランスが住宅ローンの審査通過が難しい理由は、主に2つあります。

理由1. 収入の安定性に疑問が持たれる

会社員などの給与所得者の場合、安定した給与や退職金が見込まれます。加えて、勤務する会社の情報も信用の一部です。

一方でフリーランスの場合、身分や社会的信用を保障する後ろ盾がないため、収入の安定性に疑問を持たれます。

会社の情報が信用につながらないのも痛いですね。

理由2. 会社員より高い収入が求められる

会社員と同じ額を稼いでいても、ローンの通過にはフリーランスのほうが高い収入を求められる傾向にあります。

たとえば、新生銀行の住宅ローン申し込み条件は以下となっています。

  • 会社員または契約社員:

    前年度の税込年収(額面)が300万円以上
  • フリーランス:

    直近2年間で平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)があること

会社員(契約社員)とフリーランスとでは、見かけの金額は同じです。

しかし会社員は額面で300万円あれば問題ない一方、フリーランスは経費抜きでの純粋な300万円を求められているのが決定的な違いです。

事業経費や支払った社会保険料などを差し引いたうえで300万円を確保しなければならず、かなり不利な立場にあります。

以上のように、主に「収入の安定性」「会社員より高い収入が求められる」の2点において、フリーランスは住宅ローンの審査において不利となりやすいです。

しかし裏を返せば「安定した収入=返済能力があること」「社会的信用があるかどうか」が証明できれば、フリーランスでも住宅ローン審査に通りやすくなるといえます。

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フリーランスが住宅ローンの審査に通るための5つのポイント

フリーランスの方が住宅ローンの審査を通過するためのポイントを5つ挙げます。

  • 独立してからある程度の年数が経っている
  • 3年間の安定的な収入や売上がある
  • 十分な貯金をしている
  • 個人信用情報を傷つけていない
  • 連帯保証人を用意する
  • ポイント1. 独立してからある程度の年数が経っている

    フリーランスとして独立後、1~3年という短い期間で廃業となる方も少なくありません。

    そのため、審査基準の一つが事業の継続期間となります。

    継続期間に加算されるのは、開業届を提出してからの年数なので要注意。

    なおフリーランスから法人化した場合は、法人化してからの年数が対象となります。

    一部例外として、弁護士などの国家資格所有者はその限りではなく、1年でも利益が出ていれば申し込み可能な場合もあります。

    ポイント2. 3年間の安定的な収入や売上がある

    フリーランスに対する住宅ローンの融資条件に「直近の所得が3年連続黒字」を挙げている金融機関は多々あります。

    あくまでも目安ですが、3年間所得を黒字で安定させることは大切です。

    ただし所得基準については、平均所得や最低額に合わせるなど金融機関により条件が異なります。

    そのため、場合によっては複数機関への相談も検討しましょう。

    ポイント3. 十分な貯金をしている

    事前に十分な貯金をすることも、住宅ローン審査にとって有利に働きます。

    貯金は支払い能力の証明になりますし、収入が落ち込んだ時期にはそこからローンを返済することもできます。また自己資金の一部を頭金にあて、借入金額を下げることも可能です。

    収入が不安定になりがちなフリーランスは誰しも貯金が重要ですが、住宅ローンを考えるフリーランスはより貯金意識を高めることをおすすめします。

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    ポイント4. 個人信用情報を傷つけていない

    個人信用情報とは、信用情報機関に登録されている個人の借入などに関する情報のことです。

    クレジットカードやローンの延滞履歴があると、信用度は下がります。

    また借金やクレカ支払いの滞納経験がなくても、信用情報に傷がついている例も。信用情報には、DVD、CDレンタルの返却遅延や携帯電話料金の延滞も含まれるからです。

    またカードやローンの数が多すぎたり、借入金額が大きすぎたりすることも審査にはマイナス。

    ただでさえ審査に不利なフリーランスが個人信用情報に傷をつけるのは、致命傷になりかねません。

    なお過去の滞納履歴が気になる人は、国内にある以下3つの信用情報機関に開示請求を行うと確認できます。

    ポイント5. 連帯保証人を用意する

    連帯保証人とは、万が一本人のローン支払いが滞納したときに、本人に代わって支払う代理人のことです。

    連帯保証人が必要とされる場合、誰に依頼するか事前に検討しておきましょう。

    ただし、借金の肩代わりリスクのある連帯保証人になってくれる人は少ないのが現実です。

    支払い不可能になれば貴重な人間関係が破綻しかねません。

    フリーランスは人的ネットワークが重要な仕事なので、ここを破壊すると本業にも支障が出る可能性があることを考慮しましょう。